宇宙ステーション補給機
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宇宙ステーション補給機(うちゅうすてーしょんほきゅうき H-II Transfer Vehicle=HTV)は宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発中の国際宇宙ステーション(ISS)に長期滞在している宇宙飛行士の食糧や衣類、各種実験装置などを補給する輸送業務を目的とした無人の軌道間輸送機である。H-IIAロケットの能力増強型であるH-IIBロケットに搭載されて打ち上げられる計画である。
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[編集] 概要
H-IIBロケットに搭載されて打ち上げられ、高度約400キロメートル上空の軌道上にある国際宇宙ステーションへ食糧や衣類、各種実験装置などの最大6トンの補給物資を送り届け、補給が済むと使わなくなった実験機器や使用後の衣類などを積み込み、大気圏に再突入させて燃やす計画である。宇宙ステーションとのドッキングにはノード2付近に設置されたロボットアームでつかんでドッキングさせる方法が採られる。
当初の計画では無人であったが、宇宙開発事業統合に当たって小泉内閣は、将来のHTV有人化を示唆した。この背景には、中国の有人宇宙飛行成功の影響や、また現状有人宇宙往還技術がアメリカ合衆国の持つスペースシャトルしかないこと、またそのスペースシャトルの信頼性が現在低下しつつあること、などがある。ただし、欧州宇宙機関による同様の輸送システムが将来の有人飛行の基礎と、明確に位置づけられているのに対し、「2015年ごろまで独自の有人計画を持たない」としているJAXAのHTVは、有人飛行の基礎研究すら行われていない。また、日本は有人飛行に不可欠な大気圏再突入の実験経験が乏しく、HTV有人化は、現状では不可能に近い。
[編集] 構成
直径約4メートル全長10メートル弱、観光バスが収まる程度の大きさになる予定。
- 先頭部・・・補給キャリア(補給物資を格納する)
- 与圧キャリア…宇宙飛行士が立ち入って補給する
- 非与圧キャリア…ロボットアームで取り出し、主に実験装置を補給する
- 中央部・・・電気モジュール(誘導制御系・電力供給系・通信データ処理系の各機器を搭載)
- 後頭部・・・推進モジュール(軌道変換用メインエンジン・姿勢制御用RCSスラスタ・燃料/酸化剤タンク・高圧気蓄器等を搭載)
[編集] 関連項目
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カテゴリ: 宇宙開発 | 国際宇宙ステーション