宇宙飛行士
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宇宙飛行士(うちゅうひこうし、英:Astronaut、Spacemanとも。旧ソ連/ロシアの飛行士はコスモナーフト露:космонавтカスマナーフト kosmonavt と呼ぶのが通例。また中国の飛行士はしばしば taikonaut と呼ばれる)は、宇宙船による大気圏外の飛行を行うよう選ばれた人のこと。訓練を繰り返している人もいれば、普段は宇宙飛行士になる前の元の職業を続けている人もいる。
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[編集] 宇宙飛行士の定義など
パイロットなどとは異なり、宇宙飛行士であるかどうかの資格や厳密な規定はない。「宇宙に行った人」が宇宙飛行士であるとしても、何が宇宙飛行であるかの判断には幅がある。たとえばロシアは衛星ミサイル、衛星爆弾は軌道を一周しなければ宇宙法に抵触しないとの立場をとっているが、有人飛行については弾道飛行も宇宙飛行であるとしている。
国際航空連盟(FAI、航空に関する記録を行う団体)では100km以上、米軍では50ノーチカルマイル(92.6km)以上の高空を宇宙としており、米軍ではそれ以上の高度を飛行した搭乗員(パイロットとは限らない)に宇宙飛行士のバッジ(ウィングマークによく似ている)を授与している。
初期の宇宙飛行では、とにかく宇宙に行って無事に帰ってくる事が最優先され、過酷な打ち上げに耐える体力と不測の事態への対処能力が重視された事から、主に軍の戦闘機パイロットから選抜されていた。近年では科学研究が主体になり、スペースシャトルでは打ち上げ時の負担も軽い事から、科学研究者が訓練を受けて宇宙飛行士になるケースが多い。
[編集] スペースシャトルでの下位区分
最近のスペースシャトルなどの運用にあたっては、下記の4つに業務が分かれている。
- 船長 (Commander (CDR)、コマンダー)
- 操縦手 (Pilot (PLT)、パイロット) (船長は操縦手より選出される)
- 搭乗運用技術者 (Mission Specialist (MS)、ミッションスペシャリスト)
- 搭乗科学技術者 (Payload Specialist (PS)、ペイロードスペシャリスト)
[編集] 宇宙飛行士と精神衛生
精神医学を専門とするカリフォルニア大学のニック・カナス教授は、ニューヨーク・タイムズの紙上で、以下のようなことを指摘した。
- 「宇宙から帰還した飛行士の中には、長年の目標を失い、一種の "燃え尽き症候群" に陥る人がいる」
- 「彼らは(訓練のおかげで)宇宙でのストレスにはうまく対処はするが、飛行の後の(地上での)現実にはうまく適応できなくなる事例がある。また、感情や人間関係の問題については、いつも上手に対処できるというわけではない」
「リサ・ノワック」の項も参照。