強化ガラス
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強化ガラス(きょうかがらす)とは、板ガラスを約700度まで加熱した後、ガラス表面に空気を吹きつけ、均一に急激に冷やす事により生成されるガラス板。それにより、一般的なガラス(フロート板ガラス)に比べると3~5倍程度の強度が生まれる。
[編集] 概要
高い弾性率、剛性率をもちながら透明であるガラスは非常に有用な素材であるが、脆いため衝撃を受けると割れてしまうという致命的な欠点が存在する。そこで、ガラスが容易に割れないようにするために、表面を圧縮して破壊に対する抵抗性を高める方法が考案された。
強化ガラスはその表面が圧縮によって強化されているため、強化されていないガラスと較べて破壊に至る為の力は大きくなるが、圧縮層を超えて割れが進行すると、内部には逆に引っ張りの力が存在しているため、ガラス全体が瞬間的に破砕する。このため、強化ガラスが割れると粉々に割れる特徴があるが、これは割れた時の安全性の点からするとむしろ好ましい特徴である。
一方、強化ガラスはその構造上、それを加工することが出来ないため、強化のプロセスは製品製造工程の最後で行われる。
上記のような性質から、強化ガラスは自動車の窓などに広く利用されている。ただし、前面のウィンドシールドについては歩行者保護の為使用が禁止されている。
電子レンジを使用する場合に、耐熱ガラスの代わりに使用される場合があるが、強化ガラスは急激な温度変化で割れる場合があり危険である。
[編集] イオン交換法
ナトリウム(Na)イオンを含有したガラスを、カリウム(K)イオンを含有した水溶液に浸けておくと、ガラス表面のNaイオンと溶液中のKイオンが交換し、Kイオンがガラスの表面層に進入していく。
ここで、KイオンはNaイオンよりも大きい。そのため、狭い隙間につっかえ棒を押し込んだような状態になり、ガラスの表面には圧縮応力の層が生じる。するとガラスを破壊するためには、分子間の結合を破壊する力だけでなく、表面の圧縮応力を取り除く力も必要となる。このため、このガラスを破壊するには通常のガラスよりも大きな力が必要となり、このガラスは強化されたと言える。
[編集] 風冷強化法
風冷強化法は、表面に圧縮応力層を形成するという点ではイオン交換法と同じである。ただし風冷強化法では熱処理によって表面層と内部の密度差をつけることによって応力場を形成する。業界では「焼きを入れる」などと称する。