強磁性
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強磁性 (Ferromagnetism) とは、隣り合うスピンが同一の方向を向いて整列し、全体として大きな磁気モーメントを持つ物質の磁性を指す。そのため、物質は外部磁場が無くても自発磁化を持つことが出来る。
室温で強磁性を示す単体の物質は少なく、鉄、コバルト、ニッケル、ガドリニウムである。
単に強磁性と言うとフェリ磁性を含めることもあるが、日本語ではフェリ磁性を含まない狭義の強磁性をフェロ磁性と呼んで区別することがある。なおフェロ(ferro)は鉄を意味する。
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[編集] 物理的起源
磁性イオン間の交換積分が正である場合、交換相互作用はスピンが互いに揃うように作用し、強磁性を示すことになる。
[編集] 性質
強磁性体は、ある温度以上になるとスピンがそれぞれ無秩序な方向を向いて整列しなくなり、常磁性を示すようになる。この転移温度を、キュリー温度(Curie Temperature、キュリー点とも言う)と呼ぶ。
キュリー温度以上では、磁化率(帯磁率)をχ、絶対温度をT、キュリー温度をTCとしたとき、
となる。これを、キュリー-ワイス則(Curie-Weiss law)と呼ぶ。Cは比例定数であり、これはキュリー定数と呼ばれる。
[編集] 用途
- 永久磁石
- 高透磁率材料
- 磁気記録媒体