彦根仏壇
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彦根仏壇(ひこねぶつだん)は滋賀県彦根市、及びその周辺で製造される金仏壇の総称。仏壇仏具業界では初めて1975年(昭和50年)に通商産業大臣によって伝統工芸品に指定される。
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[編集] 仏壇としての分類
[編集] 製造システムの特徴
工部七職という各分野の職人がそれぞれ独立した工房を構え、仏壇店は工程に沿って順次発注をかけることによって仏壇製造を進めていく。これは江戸時代前期の主流だった家内制手工業のシステムである。
一方、一部の仏壇店は自社工場を建設し、主要な工程を自力で行っている。しかしながら工場内で機械化が進んでいるのは塗装工程くらいであり、殆どの工程は従業員による手仕事の域を超えていない。製造業のシステムとしては、江戸末期~明治期に出現した工場制手工業に近い。
工部七職の職人の中には自前の資本を失い、上記のような工場内の設備を借りて仕事を受注する形をとる人もいる。この部分は工場制手工業とその前段階の問屋制家内工業を足して2で割ったようなシステムである。
仏壇製造業では江戸時代前期から産業革命期までのシステムが混在しているといえる。
[編集] 販売面での特徴
彦根産地の仏壇店は卸業者としての機能も持つため、かつては全国各地で彦根仏壇ブランドの仏壇が販売されていたが、秋田、九州、近年では中国をはじめとする海外産の仏壇との競争にさらされ、利益確保のために直売へシフトする仏壇店が増えてきている。
最初から仏壇の「販売」を主な事業として始めた仏壇店は少なく、工部七職の何れかの職人から仏壇販売に乗り出した店が多く、職人としての仕事と仏壇の販売が並存する仏壇店も多い。どの分野の職人出身かによって、仏壇店としてどの部分にこだわりを持つかの差が生まれ、それが店ごとの個性となって現れている。
滋賀県内、京阪神、北陸、東海の各地域はそれぞれ顧客の嗜好、主流になっている宗派が異なるため、どの地域を主な商圏とするかによって、各仏壇店での商品政策が異なる。