必殺仕置人殺人事件
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必殺仕置人殺人事件(ひっさつしおきにん さつじんじけん)は、1973年に起きた殺人事件。
[編集] 事件の発端
容疑者・A(男性)は妻の留守中の夜間に偶々自宅に遊びに来ていた妻の友人B(女性)に性交渉を持ちかけるも、Bはこれを拒絶。これに怒ったAはBを絞殺した。
しかし、Aは死体の始末に困り、Bの遺体を車に載せ人気のないところに捨てようとするも、警察の検問に引っかかり、殺人等の容疑で逮捕された。
[編集] 取調べと必殺仕置人
警察の取調べを受けたAは、犯行直前、Bと人気番組『必殺仕置人』を見ていたと供述。このことがマスコミに知られると、各マスコミはこぞって必殺仕置人と今回の殺人事件の関連性を指摘。さらに同番組に否定的な見解を持つ識者たちは、こぞって同番組と制作局の朝日放送(ABC)を批判。当時のキー局TBSは放送の打ち切り、または残虐な描写の自粛と番組内容の変更を、朝日放送に強く要求した。
しかし、必殺シリーズのチーフプロデューサーを務めた山内久司によると、当時、必殺シリーズのスポンサーだった、中外製薬と日本電装(現・デンソー)及び、日本電装の親会社のトヨタ自動車からTBSに放送中止をしないようにと強い圧力がかかり、番組の打ち切りは回避された。それは、当時、トヨタ自動車では「あなたのよく見るテレビ番組は何ですか?」とアンケートをとったところ、子会社の日本電装がスポンサーをしている、必殺シリーズが上位にランキングされたからだという。
[編集] 関連の否定
間もなく、この事件の公判が開かれ、早速、事件と『必殺仕置人』との関連が話題となった。つまり、同番組を見て犯行にいたったのか、そうであれば罪は軽減されるのかということである。
公判で被告人となったAは、「俺は、テレビ番組に影響されるような安易な人間ではない。馬鹿にするな」と発言。結果、必殺仕置人と事件との関連は否定されたものの、影響は大きかった。
放送期間の延長話は立ち消えとなり、番組の内容も路線修正が行われ、次回作『助け人走る』は、ソフトな内容の時代劇として、「必殺」のタイトルを外して放送されることとなった。