握りごけ
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握りごけ、握りゴケ、握り転け (にぎりごけ) は、オートバイ転倒パターンの一つである。前輪ブレーキの操作を誤った際、前輪がスリップ等をおこして発生する。通常のオートバイでは、前輪ブレーキは右ハンドルのレバーを握ることで操作するため、握りごけの名がついた。他の呼び方だと「パニックブレーキ」などがある。
前輪がロックするとオートバイ前輪のスリップ角が増してそのまま対処しない場合は転倒する事もある。特にオートバイが傾いた状態で前輪がロックするといくつかのプロセスが通常より早いスピードで発生しステアリングのスリップアングルとの関係で転倒し握りごけとなる。また、オイルや砂、凍結などが路面にあってもおこりやすい。通常、法定速度以下であれば、完全な凍結路面以外では適切なステアリング操作とブレーキを緩めることで十分対処できる。
また、渋滞中のノロノロ運転時やUターン時の極低速走行時、前輪に急ブレーキをかけると、前輪のサスペンションが縮みきり(フルボトム状態)になり、車体は停止しても、特に上半身を支え切れずにハンドルから手がはずれたり、地面に足をつくタイミングを逸して転倒する場合がある。前輪ブレーキのかけ方(ブレーキレバーの握り方)に起因する転倒状態として、立ちごけと区別される場合がある。
自動二輪免許を取得する際の実技試験では、所定の速度(40km/h、ただし普通自動二輪小型限定に関しては30km/h)からの急ブレーキが課題として課せられるが、実際の路上では実技試験より走行する速度域が高く、滑りやすい路面も多いことから、突発的な事態での握りごけが得てして発生しやすい。急ブレーキによって前輪がスリップすると、ライダーは肩や頭部から路面に倒れ込む形になり大けがをしやすい(特にお椀型のヘルメットを着用している場合)。握りごけに限らず、二輪車は急な回避が困難なため、急ブレーキをかけなくてもすむような先を読んだ運転が望ましい。また、車両側の対策としてABSの装備も進んでいる。