損益分岐点
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損益分岐点(そんえきぶんきてん)とは、売上高と費用の額がちょうど等しくなる売上高を指す。損益分岐点売上高ともいう。英語で Break-Even Point 、頭文字を取って BEP とも書く。売上高が損益分岐点以下に留まれば損失が生じ、それ以上になれば利益が生じる。このことから、「採算点」とも呼ばれる。
[編集] 概要
損益分岐点上の売上を求める公式は下記のとおり。
売上高=固定費/限界利益率
限界利益率=1-(変動費/売上高)
- 損益分岐点比率
損益分岐点売上高の実際の売上高に対する割合を「損益分岐点比率」という。この指標を用いて企業の収益性を評価することがある。
損益分岐点比率=損益分岐点売上高÷純売上高
こうした計算をもとに経営分析することを「損益分岐点分析」という。損益分岐点分析は、古くからの経営分析手法であるが、直感的に理解しやすいので、今日でもよく用いられる。
損益分岐点比率は低ければ低いほど収益性が高く、かつ売上減少に耐える力が強いことを意味し経営が安定していると判断される。8割程度が理想であるとされるが、業種により異なり、一般には9割を若干上回る程度の業種が多い。
[編集] 変動費と固定費
費用は「固定費」と「変動費」とに分けることができる。
「変動費」は売上に(ほぼ)比例して増加するが、「固定費」は売上に関係なくかかる(極端な話、仮に売上がゼロでも固定費はかかる)。売り上げで固定費をカバーして初めて利益計上が可能となる。
変動費には、例えば、原材料費、仕入原価、外注費などが該当する。
一方、固定費の代表は人件費(厳密には歩合給等は変動費とみなされる)である。その他に事業を営むための設備関係の費用、例えば減価償却費、リース料、不動産賃借料や、支払金利など多くの費目が含まれる。
単位あたりの売上からそれに要する変動費を差し引いたものが「限界利益」と呼ばれる。一個(一単位)売り上げるのに直接要した費用を差し引いた額と考えればわかりやすい。このため、「粗利」とも呼ばれる。限界利益の積み重ねで固定費をカバーして初めて利益計上が可能となる。
[編集] 損益分岐点を下げるには
損益分岐点を下げ、不況耐久力を増す等するためには、企業としては、いくつかの方策がある。
一つは、限界利益率を上げること、言い換えれば変動費(率)を下げることである。具体的には、材料費、物流費の削減等がこれにあたる。
もう一つは、固定費を削減することである。具体的には、正社員を減らしパートタイム・アルバイト、派遣社員などのより弾力的な雇用への切り替え、外注、アウトソーシング等がこれに相当する。また、遊休化し稼働率の極端に低い設備の除却等もこれに当たる。一時的に除却損等が発生するが、中長期的には損益分岐点を下げる効果がある。このように固定費の削減には、事業構造の見直し(リストラクチャー)が欠かせない。
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