散骨
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散骨(さんこつ)とは、一般には、故人の遺体を火葬した後の焼骨を粉末状にした後、海、空、山中等でそのまま撒く葬送方法をいう。
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[編集] 墓地、埋葬等に関する日本の法律との関係
埋葬等を行う場合の手続についての法律である墓地、埋葬等に関する法律においては、火葬した後の焼骨を墳墓に埋蔵したり、納骨堂に収蔵することについては手続が定められているが、これら以外の方法については特段の規制をしていない。
したがって、散骨については、墓地、埋葬等に関する法律の規定に反しない限りは、特段の規制はされていないこととなる。
この点に関し、1998年(平成10年)6月に厚生省生活衛生局(当時)が公表した「これからの墓地等の在り方を考える懇談会」の報告書で は、「散骨が公衆衛生上の問題を生じたり、社会通念上国民の宗教的感情を損なうような形で行われるのでなければ、現行法上特に規制の対象にする必要がないというのが現在の行政の考え方であり、これは是認できるものである。」とされている。
現在の厚生労働省の見解(非公式)も、散骨については、墓地、埋葬等に関する法律の対象外であるとしている。
但し、現在では「節度を持って」散骨を行う事を前提に各業者の裁量に任せているのが実情であり、ある業者は海岸より20海里、また他業者は桟橋より300メータとバラバラである。極端なことを言えば、個人が波打ち際で散骨を行っても、それも焼骨したままの遺骨でも条例、法律などがないので「節度を持って」行えば許されるという反面もある。基本的な法律などで規制する必要がある。散骨先進国である米国やヨーロッパを参考にすることも可能であるので早い時点での立法が望まれる。
[編集] 刑法との関係
散骨が刑法190条の規定する遺骨遺棄罪に該当するかについて、法務省の見解(非公式)では、散骨が節度をもって行われる限りは違法性はないとしている。
[編集] 散骨をめぐる問題
散骨が海や空で行われることについては問題となることはほとんどないが、陸地で行われることについては、散骨を行いたいとする者やそれをビジネスとしている業者と、周辺住民等との間でトラブルとなることもある。
陸地で行われる場合、土地所有者に無断で行うことができないのはもちろんである。土地所有者の許可がある場合や、自己の所有地で行う場合であっても、散骨は風習として新しいため、近隣住民などが違和感・拒否感を抱く場合があることは否めない。
2005年(平成17年)3月に北海道長沼町は散骨を規制するための条例を制定した。これは散骨という新しい葬送方法をどう受け止めるかをめぐる過渡的な対立が顕在化したものと考えられる。散骨を規制する側は「近隣農地で生産される農産物に風評被害が広がる」と主張しているが、それは過剰反応であるという受け止め方もある。
なお、この条例に対して、同年4月、NPO法人葬送の自由をすすめる会が、憲法で保障された基本的人権の「葬送の自由」を否定するものであるとして、条例の廃止を求める請願書を提出した。
実際には陸地での散骨は宗教法人が持つ墓地にて、樹木葬などの形をとって行われる。私有地であっても、散骨をしてしまった場合、土地の買い手が見つからなくなるなど民事的な問題が起こりうるので。まず陸地での(墓地を除く)散骨は行われない。
TBS「噂の東京マガジン」で、このことの問題について取り上げたことがある。
また、近年、海外で散骨を行う事が多くなってきたが、特にハワイなどでは散骨に関する法律が規定されており、法律に沿わずに、観光がてらに勝手に行い問題をを起こすと、多額の罰金を支払わなければならないばかりか、国際上の問題にもなりかねないので、専門の業者を選ぶ事が必要である。