日本のバスの座席
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日本のバスの座席(にほんのバスのざせき)では、日本のバスにおける座席の配置や形態について扱う。
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[編集] 座席配置
[編集] 三方シート(横向きシート)
鉄道車両ではロングシートと呼ばれている、車両の長手方向に並んで座る座席。車両の左右の側窓を背にして座る長いベンチ様の座席である。バスの場合は最後部の壁面に座席を設置することが可能であり、その壁面の座席が前向きとなるケースが多いため、こう呼ばれている。タイヤハウスの高さが座面の高さを超えない限りは、座席を多く設置することが出来るが、景色が見づらいという欠点もあり、どちらかといえば生活路線向きである。初期のバスは大半がこの形態であるが、最近のバスでは後述の前向きシートが標準となっているため、優先席・車椅子スペースの折りたたみ座席を除けば東急バスにおいて青葉台地区にて導入されているのが目立つ程度である。
なお、東急バスがこの座席配置を導入した理由は乗車定員増加のためで、この点は鉄道車両のロングシートに近い。また、最後部以外にも最前列タイヤハウスの上と非常口前の座席は前向きシートとなっている。
[編集] 前向きシート
長距離路線などでは古くから採用されており、現在でもバスにおいては標準的な座席配置である。1人がけと2人がけを組み合わせて配置することが多いが、都市部では最後部以外は全て1人がけという例もある。
[編集] 混合シート
三方シートと前向きシートを両方備えているケースもある。1970年代の京王帝都電鉄バス(当時)などで、中扉から前が前向きシート、中扉から後が三方シートとなっていた例がある。また、初期の京急型ワンステップバスでは、ワンステップ部分を横向きシート、中扉より後方の高床部分を前向きシートとしていた。他にも同様の例は多く存在する。
なお、優先席のみ横向きシートを採用している場合は、混合シートとしては扱わないこともある。
[編集] ボックスシート
座席を向かい合わせにしたものであるが、バスでの採用例は少ない。
- JRバス関東では、ドリーム大阪号へのダブルデッカー投入時に、1階の座席についてはリクライニングシートを向かい合わせにした上で固定テーブルを設置、カーテンで仕切ってセミコンパートメントとしても使用できるようにしていた。
- 初期のノンステップバスでは客室内のデッドスペースが大きく、座席の配置に大きな制約があったため、タイヤハウス直後の座席を後向きに設定し、ボックスシートとしていた例もある。
- 西日本鉄道の1985年~1986年製の一般路線車では、車椅子対応用の折り畳み座席を向かい合わせに設置していた。
- 一部の貸切バス(例:中央観光バス「ジパング・ダイムラー」など)に採用例がある。
[編集] サロンシート
ハイグレード貸切車などで導入されることがある仕様で、車内の一部を横向きシートとして、テーブルを設置しているものである。作りつけの座席であるケースと、座席の一部を回転シートとして対応しているケースがある。たいていの場合は後部座席部分がサロンに設定されることが多いが、名古屋観光バス(当時)では、前方にサロンを設定した車両もあった。また、高速バスでも1980年代から日本急行バス(当時)の名古屋~京都線で「サロン特急」と銘打って後部サロンを設置していた他、はかた号・ドリームふくふく号などで採用例がある。伊豆下田バスでは、一部の一般路線車の後部に、この仕様の座席を設置していた。
[編集] 座席形状
[編集] 固定シート
標準的な路線バスの座席である。背もたれの高さは標準的な大人の男性が座った場合に、だいたいわきの下あたりの高さである。2人がけであっても座面・背もたれともに一体になっているものが多いが、バケットタイプにはなっていないことも多い。近年はフレームを樹脂製にしたものも登場している。
2人がけ座席において、背もたれや座面を1人分ごとに分離したものをセパレートシートと呼ぶことがある。大阪市交通局では、横向きにも前向きにも対応可能で、何人がけの座席であっても背もたれを共通化したことがあり、この時はバケットタイプとなっていた。
[編集] ハイバックシート
長距離路線向けに、背もたれの高さを高くしたもので、標準的な大人の男性が座った場合に、だいたい肩から首あたりの高さである。背もたれはバケットタイプになっていることが多い。リクライニング機能はないものの、背中を支える面積が広いために、座り心地は良く感じられるようである。
[編集] リクライニングシート
観光バスや高速バスなどでは標準的な座席である。背もたれの高さについては、観光バスではハイバックシートと同程度であるが、夜行高速バス用の座席では頭まで支えられるように、背もたれの高さはかなり高くなっている。また、長時間座りつづけても楽な姿勢が取れるように、レッグレストやフットレストなどが設置されることも多い。
夜行バス向けに、横スライド機能を装備するケースもある。これは、通路側の座席を通路側に数センチほどスライドされて、隣席の人との空間を確保するための機能である。この機能が装備される場合、通常は補助座席は装備しない。
座席配列は大きく分けると下記の3つに分類可能である。
- 4列シート(2-2)
- 貸切バス・本州以東での高速バスでは標準的な座席配置。夜行高速バスでも以前は導入されていた。(青春ドリーム号など低運賃を売りにした便では、4列シートが復活している)
- 西武バスが運行する高速バスでは、座席幅は極力広くされており、通路側の座席を横スライドさせる機能も装備していた。
- 独立3列シート(1-1-1)
- 夜行高速バス「ムーンライト号」で、1986年より採用されたのが最初で、全ての座席が1人がけとなったものである。通路が2本あるのが特徴であるが、通路を2本とも同じ幅とするかどうかはバス事業者により差がある。隣席との間に通路があることで、一定の距離を置いていると感じられ肘掛を占有できることから、乗客からの評価も高く、現在の夜行高速バスでは標準的な座席配列となっている。
- 日本以外の国ではあまり見かけない座席配置であり、日本のバス特有の仕様ともいえる。
- なお、座席幅が広いという意見もあるが、実際には通路が2本あるため通路部分の総面積が大きくなることや、中央列の座席の両側に肘掛が設置されることなどから座面幅は4列シートに比べ大きな差はなく、特に初期のダブルデッカーでは4列座席と同一の座席幅である。肘掛があることで腕回りが楽になるために、心理的に広く感じられるものと思われる。
- 高速バスと競合する夜行列車にもこの座席配列が導入されたことがあり、寝台特急「あかつき」の座席車に「レガートシート」の名称で導入されている。
- 2列-1列シート
- 九州内の昼行高速バスで多く見られる座席配置で、以前は夜行高速バスでも弘南バスや奈良交通で導入されていた。通路は1本のままで、座席幅を最も広く確保することが可能である。座席幅が広いにも関わらず夜行高速バスの座席としての採用例が少なく、評価もあまり高くないのは、隣席との間に空間がないことや、窓側席からの出入りに難があるためと思われる。なお、奈良交通では、この配列の2人がけシートで通路側席を横にスライドさせ、隣席との間を少し離す機能も装備していた。
- 貸切車では特別車でこの座席レイアウトを採用するケースがある。
[編集] 補助座席
観光バス向けの座席には、折畳式の補助座席が装備されることがある。使う場合には通路部分に引き出して座席を作る。正座席だけでは柔軟性に欠ける面もあることから設置されることが多い。車検証の定員には補助座席も含まれる。以前は座席脇に取り付ける仕様が多かったが、最近では片側の肘掛の幅を拡大し、その中に収納させる仕様が一般的である。座り心地が悪いため、観光バスでも短時間の乗車が限界であるが、特殊な例では低運賃夜行バスの正規座席が満席になった後、条件付でさらに低運賃で補助席を発売する場合がある。
[編集] ガイド席
その名の通りバスガイド用の座席である。高速道路では乗客乗務員とも原則として立席が禁止されているため、バスガイドも着席していなければならないので、観光バスでは必ず装備されている。出入り口部分に折畳式で設置されている。
形状としては、補助座席のように簡易な折畳式になっているものや、航空機などのジャンプシート(離着陸時に客室乗務員が着席する)と同様の構造のものがある。
[編集] 特別設計の座席
[編集] スリーピングシート
杉本工業が西日本鉄道の依頼を受け、西日本車体工業と共同開発した夜行高速バス用の座席である。最大の特徴は、リクライニングさせると座面がせり上がり、フルリクライニングにしてレッグレストを最大限に出した状態では、ほぼ身体を直線の状態にすることが可能である。また、前の座席下にも空間を設け、つま先が入るようになっている。また、窓側席では壁側の肘掛が省略されているが、車体側で窓の下辺をひじ掛けと同じ高さにすることにより、可能な限り座席幅を広く設定し、快適性を確保している。
西鉄および西鉄と共同運行する夜行高速バスの多くに採用されているほか、西日本JRバスのダブルデッカーでも採用例がある。しかし、現在は杉本工業がバス用座席の製造を中止しているため、新規導入は出来ない。
なお、直線状態にはなるものの、水平になるわけではない。これは、完全に水平にすると、日本の法規上、バスに設置することが認められていない寝台と解釈されてしまうためである。
[編集] オフセットシート
西日本鉄道が北九州線電車代替バスの時に開発・導入した座席である。2人席を通路側と窓側とに分割し、通路側を少し後ろにずらすことで、「互いの肩が触れ合わない」というコンセプトを実現しようとしたものである。また、窓側の乗降性を確保するという狙いもあった。しかし、現実にはオフセットされた通路側座席が障害となり、窓側の着席率の低下を招くことになってしまったため、現在導入されている車両では通常の座席に戻っている。都営バスの日野・レインボーHRのうち2003年度購入車でも採用された。東北急行バスでは一部の車両で1人用のリクライニングシートをオフセットシートのレイアウトで配置している。
[編集] プロレスラー用の座席
1980年代後半に新日本プロレスが選手輸送用に導入したバスのうち、外人選手専用のバスには、アンドレ・ザ・ジャイアント専用の座席が設置されており、座席幅は1mを超えていた。他の座席も幅60cm前後と大きい。これらの座席は、全て天龍工業に特注で作らせたものであった。
[編集] 特殊なバスの座席
[編集] 寝台バス
中華人民共和国(中国)では、長距離のバス(乗合自動車)路線において、寝台バスという仕様がある。これは、車内を座席ではなく2段ベッドにしたもので、外観上も横長の窓が2段になっているのが大きな特徴。
中国以外の国ではまず見かけない仕様である。
通常は通路を挟んで両側に2人分のベッドが並んでいるが、1人あたりの横幅は、通常の4列シートのバスの座席と同程度である。近年は、2列-1列の座席と同様の幅の寝台バスもあり、居住性はやや向上している。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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