桜井反応
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桜井反応(さくらいはんのう)は、有機化学における合成反応のひとつで、ルイス酸を触媒としてケトンなどの求電子剤とアリルケイ素(アリルシラン)とが炭素-炭素結合を生成する反応である[1][2][3][4]。細見・桜井反応(ほそみ・さくらいはんのう)とも呼ばれる。この名称は、本反応の開発者である桜井英樹、細見彰にちなむ。
有機ケイ素は一般にケイ素-炭素結合の分極が小さい。そのため、ルイス酸によるアリルケイ素の活性化が、桜井反応の進行に欠かせない。用いられる有効なルイス酸としては、塩化チタン(IV)、フッ化ホウ素(III)、塩化スズ(IV)、ジエチル塩化アルミニウム (AlCl(Et)2) などが挙げられる。
この反応はグリニャール反応などと比べ穏和な条件で進むことと、導入されるアリル基がその後にさまざまな化学変換が可能な置換基であることが、この反応性の有用性を高めている。
[編集] 有機ケイ素化合物の反応
ルイス酸触媒を用いる有機ケイ素化合物による求核的反応として、ほかに向山アルドール反応が挙げられる。ほかに、有機ケイ素化合物を基質とする人名反応として、玉尾酸化(アルコールへの変換)、檜山カップリング(パラジウム触媒による、ハロゲン化アリールとのクロスカップリング反応)、ピーターソン反応(カルボニル化合物との反応によるオレフィン合成)が知られる。
[編集] 参考文献
- ^ Hosomi, A.; Sakurai, H. Tetrahedron Lett. 1976, 1295.
- ^ Hosomi, A.; Endo, M.; Sakurai, H. Chem. Lett. 1976, 941.
- ^ 総説: Fleming, I. et al. Org. React. 1989, 37, 57.
- ^ 総説: Fleming, I. Comp. Org. Syn. 1991, 2, 563.
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