塩化スズ
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塩化スズ(えんかスズ、tin chloride)とは、スズの塩化物にあたる無機化合物である。スズの酸化数が異なる塩化スズ(II) と塩化スズ(IV) が知られ、それぞれ、塩化第一スズ、塩化第二スズとも呼ばれる。スズと塩酸の反応で塩化スズ(II) が生じ、塩化スズ(II) に塩素を作用させると塩化スズ(IV) が生じる。
[編集] 塩化スズ(II)
塩化スズ(II)(tin(II) chloride または stannous chloride)は化学式 SnCl2 で表される+2価のスズの塩化物で、無水物、2水和物がある。無水物は無色~白色の結晶性粉末で、潮解性がある。2水和物は融点 37.7 ℃ の白色結晶で強力な還元剤であり、酸化剤や強塩基と激しく反応する。硝酸塩とは非常に激しく反応し、爆発の危険がある。空気中の酸素と反応して不溶性のオキシ塩化物を生じる。水、メタノール、エタノール、酢酸、酒石酸などに可溶。水溶液は徐々に加水分解(下式)を起こし白沈を生じる。
[編集] 塩化スズ(IV)
塩化スズ(IV)(tin(IV) chloride または stannic chloride)は化学式 SnCl4 で表される+4価のスズの塩化物で、無水物、5水和物などがある。無水物は融点 −30.2 ℃、沸点 114 ℃の無色で刺激臭のある液体で、アルコール類、ベンゼン、トルエン、二硫化炭素、四塩化炭素等多くの有機溶媒に可溶。空気中の水分と反応して塩化水素の白煙を生じる。多量の水を加えると激しく加水分解して発熱し塩化水素の白煙と酸化スズ(IV) の煙霧を生じるため非常に危険である。5水和物は融点 60 ℃付近、沸点 114 度の白色~類白色の結晶性塊で、水に発熱、発煙しながら溶ける。水溶液は徐々に加水分解を起こし白沈を生じる。エタノール、ベンゼン、トルエンに可溶。アルカリ金属との混合物は、衝撃により爆発する危険性がある。
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