構造決定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
構造決定は、物質の化学構造を決定する過程をさす。
化学の中心課題のひとつは、反応によって得られた生成物や、生物から単離した物質などの化学構造を決定することである。
特に合成化学においては、明確に構造決定されていない化合物は合成できていないのと同等であり、重要度はきわめて高い。
手順としては、まず構造決定したい化合物を単離した後、各種分光法、質量分析、元素分析により構造を推測する。
[編集] 有機化合物
単純な有機化合物の場合は、たいてい1次元NMRのみで構造決定することができる。
しかしながら、複雑な天然物(タンパク質など)の構造決定はきわめて困難なことが多く、COSY、NOESY、HOHAHAなど、多様なNMR法を組み合わせ、もし単結晶が作製可能であればX線構造解析によって構造を決定する。
なお、有機物の構造決定手順は確立しており、現在のところ雑誌に論文投稿する際には、NMR、MS、IRの各スペクトル、および元素分析の結果が必須となっていることが多い。
[編集] 無機化合物
金属錯体など、分子性化合物は、主としてX線構造解析から構造決定を行う。これは金属元素が含まれるとNMRの利用がきわめて制限されるためである。結晶化しにくい物質や、セラミックスなどは、XRD、XPS、TEM、UV、IR、ラマンなどで構造を推定する。