流行歌
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流行歌(りゅうこうか)は、流行つまりヒットさせることを目的に作られた、独唱または重唱の、演奏時間が数分以内の歌曲である。
大正以前には、松井須磨子の「カチューシャの唄」や「籠の鳥」がはやったが、1929年にヒットした佐藤千夜子の「東京行進曲」を嚆矢とするのが定説である。その後、音楽の分野として「流行小唄」というジャンルができたが、一般には「流行歌」と呼ばれていた。「唄は世に連れ、世は唄に連れ」ということわざまででき、流行歌はその時代の世相を映す鑑として、多くの人々に愛され、口ずさまれてきた。しかし一方で、安易に身を売る女性などをテーマにした唄もあり、風紀上好ましくないと言う意見も多かった。1949年にまだ12歳にすぎない美空ひばりがデビューしたとき、あんなに幼い少女に流行歌を歌わせるとは何事かという批判も少なからずあった。学校などで児童・生徒が唄うことは禁止されていた。
1950年代にはいると、アメリカンポップスが流行、60年代には「御三家」や三田明・安達明などの若手歌手が台頭し、青春歌謡や学園ソングがヒットしてくると、大人のための「泣き節」的な流行歌と区別するために、歌謡曲という言葉が使われるようになる。また、三波晴夫や村田英雄抔の浪曲歌謡や、北島三郎などの演歌、マイク真木にはじまるフォーク・ソングなどさまざまなジャンルに分かれていった。
現在では、演歌・歌謡曲とポップスは別物と言うことになっているが、「流行している歌」を総称する言葉はないようだ。