混信
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混信(こんしん)とは、主に電波を使った放送や無線通信において、同一周波数あるいは隣接周波数の他局の電波が混じり、聴き辛くなることを指す。
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[編集] ラジオ放送の混信
サービスエリア内では、混信することなく、そのラジオ放送が安定して聴取できることになっている。しかし、同一周波数や隣接する周波数に、他局が強力な電波を発している場合、ラジオ局のお膝元でも混信を起こすことがある。統一革命党の声放送の混信には、中部日本放送技術部の職員も、頭を抱えていた。
敢えてサービスエリア外のラジオ放送、特に小出力局を聴取しようとする場合、混信との格闘になる。例えば、夜間の東京では、中波1098キロヘルツが、信越放送と、ラジオ福島郡山局の混信で、地元ニュースやコマーシャルの違いで識別するしかない。
なお、ユーラシア大陸に近い山陰地方(鳥取県・島根県・山口県)~九州北西部(福岡県・佐賀県北部・長崎県、熊本県、鹿児島県)、台湾に近い沖縄県、瀬戸内海沿岸部では混信は発生しやすく、特に夜間、地元のラジオ放送でも聴き辛くなる事が多い。
[編集] テレビ放送の混信
テレビ放送では通常、放送区域内では混信を起こさないようにチャンネルが割り当てられている。しかし、放送区域外の局を受信する場合、同一チャンネルの他局の電波と混信を起こすことがある。これは、アンテナの指向性でしか回避する方法がない。
放送区域内であっても近隣都道府県の中継局の電波が混信してしまう事がある。瀬戸内海沿岸部や朝鮮半島に近い山陰地方~九州北部地方の日本海側では放送区域内であっても頻繁に混信による受信障害が起こりやすい。この場合は混信していない他の中継局を視聴するか、電離層や気象条件が原因とする混信は、不可抗力なので収まるのを待つしかない。
混信すると、画面に横線が入る、ビートノイズが混じったりする。場合によってはまったく受信できないこともある。春先から夏にかけてはFM・VHF帯(1~3ch)では電離層や気象条件の影響で混信が発生することがある。なおUHF帯(13~62ch)では電離層の影響を受けない。
地上デジタル放送では、ノイズが入ることはないため、混信の影響を受けにくい。ただし混信の影響を受けるとブロックノイズが発生したり、全く視聴できなくなる。
[編集] 無線通信の混信
2周波デュープレックスで運用される業務無線の場合は、混信が発生しないように、使用周波数・サービスエリア・局数が管理されているので、混信なく通信できるようになっている。ところが、異常伝播発生時や高層ビルの高層階、山岳の山頂付近では、いわゆるオーバーリーチが発生し、混信となる。また、同一周波数または隣接周波数で違法無線局が運用されても混信となり、社会問題に発展することもある。
1周波シンプレックスで運用される業務無線の場合も、混信が発生しないように、使用周波数・サービスエリア・局数が管理されているが、移動局は他の移動局が送信中かどうかを知ることができないため、例えば、他の移動局が基地局と通信中で、かつ、その移動局の電波が弱くて受信できない時に、空き状態であると判断し送信すると、基地局に対して混信を発生させることになる。
アマチュア無線の場合は、一部を除き、使用周波数・サービスエリア・局数を管理すると言う概念が存在しないため、混信を防止する手立てが無い。混信が発生した際は譲り合いにより解決する。SSBやCW(電信)では、チャネルで周波数を区切って管理すると言う概念も無いため、同一周波数でない限り、混信状態での通信が普通におこなわれている。