渥美半島
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渥美半島(あつみはんとう)は、全長約50km、幅5km - 8kmの細長い半島。日本の太平洋側では珍しく東西方向に伸びている。愛知県東三河に属し、愛知県尾張の知多半島と共に三河湾を抱えむようにしている。南側は太平洋に面している。全体的に太平洋側が洪積台地となっており高く、三河湾に向かって低くなる地形となっている。太平洋側は海食崖を形成しており、現在でも波による浸食を受け続けている。また、日出の石門から静岡県の潮見坂までは片浜十三里という砂浜となっている。半島の中央部には赤石山系南端の弓張山脈から伸びる山地を形成していて、最高峰は大山(標高328m)である。
行政的には、豊橋市、田原市からなる。半島の先端は、伊良湖岬であり、伊良湖水道を挟んで、三重県の神島さらには、志摩半島と向き合っている。台地部では、近郊園芸農業が盛んで全国有数の農業地帯となっており、特に田原市は1自治体における農業生産額が日本一で、豊橋市もそれに次ぐレベルを維持している。半島の中央部にはちょっとした丘陵地帯があるものの、全体にはなだらかな地形で耕作地確保がしやすく且つ気候もきわめて温暖なため、農業一般に適した理想的な土地だと言われる。近年では畜産業も進んでいる。比較的人口は少ないが、電照菊やメロン栽培など日本有数の出荷額を誇る農業や観光名所となった伊良湖岬・恋路が浜・菜の花畑など数々の魅力に溢れており、全国から訪れる観光客が多い。
交通は半島の中程まで、豊橋鉄道渥美線が通っており、道路は、三河湾側を国道259号、太平洋側を国道42号がそれぞれ伊良湖岬まで伸びている。伊良湖岬にはフェリーターミナル(伊良湖クリスタルポルト)があり、フェリーや高速船が対岸の鳥羽市や知多半島、伊勢湾及び三河湾の島々を結んでいる。