準州
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準州または准州(じゅんしゅう;英:territory)は、州からなる連邦国家の、州ではない行政区画。州よりは自治権が弱く、連邦政府の権限が強いことが多い。将来は州に昇格することもある。
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[編集] カナダの準州
カナダは、10の州 (province) と、ノースウェスト準州、ユーコン準州、ヌナブト準州の3準州で構成される。
カナダの州と準州は、歴史的に起源が異なり、準州が州に昇格するわけではない。自治権を持つ州に対し、準州では連邦政府が立法・行政権を持ち、自治は限定的である。準州は人口希薄で、歳入の多くを連邦からの補助金に頼っている。
ヌナブト準州は、イヌイット(エスキモーに属する民族)によって自治されている。
カナダの州も参照のこと。
[編集] アメリカ合衆国の準州
アメリカ合衆国の海外領土はterritoryだが、それらのうち準州と訳されるのは、Organic Actなどにより自治権を与えられたterritoryである。現在、自治権がないterritoryは、無人島や、軍人のみの島だけである。
現在の準州は、プエルトリコ、北マリアナ諸島、グアム、アメリカ領ヴァージン諸島、アメリカ領サモアの5つである(アメリカ領ヴァージン諸島は含めないこともある)。ただし、プエルトリコ、北マリアナ諸島は、制度上は準州だが、自由連合州 (commonwealth) でもあるので、通常はそう呼ばれる。したがって、通常、準州と呼ばれるのは、グアム、アメリカ領ヴァージン諸島、アメリカ領サモアの3つである。
かつては、アメリカ本土(アラスカ、ハワイを含む)にも多数の準州があった。建国13州、バーモント州、ケンタッキー州、メイン州、テキサス州、カリフォルニア州、ウェストヴァージニア州以外の31州は、準州から州に昇格して生まれた。
準州は、連邦議会に議員を送れない(下院に投票権のない代表を1人だけ送ることができる)、住民に大統領選挙の投票権がないなど、連邦参政権に制約がある。本土の準州にはアメリカ合衆国憲法が適用されたが、海外領土の準州には適用されない。(ハワイ準州の州昇格の際に分離されたパルミラ環礁だけは合衆国憲法が適用されるが、住民は軍人だけなので自治権はなく、準州とはされない)
[編集] オーストラリアの準州
オーストラリアは、6州 (state)・1準州・1首都特別地域からなる。首都特別地域(キャンベラ)を準州に含め、6州・2準州とすることもある。
北部準州は、オーストラリア唯一の準州で、単にTerritory(大文字始まり)とも呼ばれる。面積1,346,200 km2に対して人口214,100人(2004年)とあまりにも希薄で、まだまだ州には昇格できそうにもない。
かつては、西オーストラリア準州(西オーストラリア州に昇格)、パプア準州(現在はパプアニューギニア領)が存在した。
[編集] ブラジルの準州
ブラジルは、22州、4準州、1連邦地区(ブラジリア)からなるが、州と準州を区別せず、26州と言うこともある。ブラジルの地方行政区分を参照。
[編集] スイスの準州
スイス連邦は、23の州 (de:Kanton, fr:canton, it: cantone) で構成されるが、うち3州は、さらに各々2つの準州で構成される。準州を個別に数え、26州と言うこともある。スイスの地方行政区画を参照。