熊胆
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熊胆(ゆうたん)とは、動物性の生薬のこと。材料は、ツキノワグマやヒグマの胆嚢であり、乾燥させて造られる。熊の胆(くまのい)ともいう。苦みが強く、健胃効果はもとより消化器系全般の万能薬として用いられる。
近年は、狩猟者が減少していること、乾燥技術の伝承が絶たれていることなどから高値になりつつある。このため、中国などから輸入される量が増えつつある。
日本薬局方においては、ヒグマ(Ursus actos)又はその他近縁動物(クマ科Ursidae)の胆汁の乾燥物が熊胆(ゆうたん)の名で収録されている。ヒグマのみならず本州のツキノワグマの胆嚢の場合も多い。
漢方高貴薬原料、熊の胆(ユウタン)は、日本薬局方収載でありいわば厚生行政の扱いは正真正銘の医薬品。薬務行政から正式な認可・承認を受けていない場合、ハンターらが販売・譲渡する熊の胆の存在そのものが違法。 また、当然、薬剤師などの資格を持たないハンターの製造・販売行為は薬効を謳う謳わないに関係なく薬事法違反になる。(たとえ薬剤師ハンターであっても熊の胆に関連する製造・配合などの許可がない場合は違法。)
薬務行政から熊の胆に関連する製造・配合などの許可を受けている仲買・製薬業者への原料としてのみのクマから「 取り出した状態のまま」或いは「水洗い&単純乾燥」の販売でない限りは違法になる。また、当然少しでも手の込んだ乾燥行為は製造行為に該当し違法であることはいうまでもない。
「水洗い&単純乾燥」の場合でも一般への販売は違法。むろんクマから「取り出した状態のまま」の胆嚢・胆汁であっても然り。 また、それは一般への無資格加工等の誘引ともなりかねない。 そして無資格譲渡もまた違法。もちろん、ハンター同士での譲渡・販売も違法となる。したがって、ハンターらの無資格での熊の胆販売・譲渡行為は上記の許容部分を除けばすべてが「密売」、加工行為は「密造」となるから要注意。
国内での違法流通に加えて、クマが実質的に絶滅状態の韓国では著しい例としてブラックマーケットで400万円を超える値段が付いていたことがあるほど伝統的に熊の胆信仰が根強く、日本産の同国への違法持ち出しも以前から指摘されている。 日本でのクマ狩猟・予察駆除などが結果的には「クマの胆の闇取引」を助長させているという見方も強い。
[編集] 関連項目
[編集] 代替医薬品
- ウルソデスオキシコール酸(ウルソ)