熱ルミネッセンス線量計
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熱ルミネッセンス線量計(熱蛍光線量計、TLD)は、検知器の内部の結晶が加熱されたときにそこから放射される可視光の量を測定することにより、放射線への被曝を測定するための小さな器具である。
熱ルミネッセンス線量計には何種類かあり、測定したい放射線の種類に応じて内部の結晶が異なる。 フッ化カルシウムはガンマ線、フッ化リチウムはガンマ線と中性子線の測定に使われる。 このほか、メタホウ酸リチウム等も用いられる。
放射線がその結晶と相互作用したとき、結晶の原子にある電子が、より高いエネルギー準位に飛び出して、そして結晶中の不純物(多くはマンガン)のためにトラップされ、加熱されるまでそこに留まる。 結晶を加熱することにより、その電子が基底準位まで落ちてくるが、そのときに特定の周波数の光子を放出する。 これが熱ルミネッセンス反応である。
放射される光の量は被曝した放射線の量に依存するため、光度を測定することで被曝線量を知ることができる。
熱ルミネッセンス線量計は、加熱した後は結晶がもとに戻るため、何度でも再利用できる。 また、フィルムバッジとは異なり、暗室のような特別な設備を必要としない。 安価で軽量、さらに衝撃にも強いという特長もある。
熱ルミネッセンス線量計は、個人の被曝線量の測定、および環境モニタリングに用いられる。 一定期間(1ヶ月または3ヶ月)ごとに回収し、TLD読み取り装置でその期間の積算線量を読み取る。