ガンマ線
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ガンマ線(γ線)は、放射線の一種。その実体は、波長がおおよそ10pmよりも短い電磁波である。
X線とは波長領域(エネルギー領域)の一部が重なっており、ガンマ線とX線との区別は波長ではなく発生機構によっている。正式には、原子核内のエネルギー準位の遷移を起源とするものをガンマ線と呼び、軌道電子の遷移を起源とするものをX線と呼ぶ。波長だけに着目し、X線よりも高いエネルギー領域(短い波長領域)の電磁波をまとめてガンマ線と呼ぶ場合もある。ガンマ線が消滅するときに、電子と陽電子が対生成される。逆に、電子と陽電子が対消滅する際、ガンマ線が発生する。
1900年にヴィラールは、透過性が高く電荷を持たない放射線を発見し、この放射線は1903年にラザフォードによってガンマ線と名付けられた。
[編集] ガンマ線の放出
放射性核種が崩壊して質量や陽子・中性子の比率が変わっても、その原子核には過剰なエネルギーが残存している場合がある。この場合、残存しているエネルギーをガンマ線として放出することで原子核は安定に向かう。この現象をガンマ崩壊と呼ぶ。放出するガンマ線のエネルギー領域は核種によって様々である。核種によっては単一領域のガンマ線しか出さないものもあるが、一般的には複数領域のガンマ線を出す。同じ元素でも、同位体によって現象は下の例のように異なる。
- 81Kr この核種は275.988keVの1領域のみ放出。
- 88Kr この核種は最低27.513kev 最高2771.02kevの88領域を放出。
- 割合で多い順から3種挙げると、2392.11kev(34.6%) 196.301kev(25.98%) 2195.842kev(13.18%)である。
[編集] 他の放射線との比較
- α線・β線と比べると透過能力は高いが、電離作用は弱い。
- ガンマ線の遮蔽には鉛、鉄、コンクリートなどが使われる。遮蔽能力が最も高いのは鉛だが、それでも遮蔽には約10cmの厚さを要する。ガンマ線は飛程が長い上、電荷を持たないので電磁気力を使って方向を変えられないため、ガンマ線からの防護は他の放射線と比較して難しい。
また、人体にとってもかなり悪影響であり、多量にあびれば死亡することもあり、また発がん性もある。 それは極めて透過性の高いため、生物の細胞を損傷させ、それがガンになる原因といわれる。
[編集] 関連項目
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