牧原出
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牧原 出(まきはら いづる、1967年 - )は、日本の政治学者、東北大学大学院法学研究科教授。専門は行政学・日本政治史。
愛知県生まれ。1990年東京大学法学部政治学科卒業。同法学部助手、東北大学法学部助教授(1993-2006年)、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス客席研究員(2000-02年)を経て現職。
2003年、『内閣政治と「大蔵省支配」――政治主導の条件』でサントリー学芸賞を受賞。
高度成長期前夜の大蔵官僚・自民党関係の研究を行なった著書『内閣政治と「大蔵省支配」』において、 政官関係は従来の「政治家対官僚」という対立軸のみで論じることができるものではなく、官僚内部にも、大臣官房をはじめとする企画・調査に関するキャリアを経ることで総合的な視野を持ち、内閣・政治家と協調、その実務面を補佐する形で総合的な政策展開を目指した「官房型官僚」と、対照的にキャリア形成を通じて省内各局の政策指向・権益擁護に特化するようになった(従来の官僚イメージが指摘するような)「原局型官僚」の二種類があったとする、あらたな政官関係像を示した。
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[編集] 著書
[編集] 単著
- 『内閣政治と「大蔵省支配」――政治主導の条件』(中央公論新社, 2003年)
[編集] 共著
- 西尾勝・村松岐夫編『講座行政学1巻――行政の発展』(有斐閣, 1994年)
- 森田朗編『行政学の基礎』(岩波書店, 1998年)
- 御厨貴編『歴代首相物語』(新書館, 2003年)
- 辻村みよ子・稲葉馨編『日本の男女共同参画政策――国と地方公共団体の現状と課題』(東北大学出版会, 2005年)
- 坂野潤治・新藤宗幸・小林正弥編『憲政の政治学』(東京大学出版会, 2006年)
[編集] 雑誌論文
- 「『協議』の研究(1)――官僚制における水平的調整の分析」『國家學會雑誌』第107巻1・2号(1994年)
- 「『協議』の研究(2)――官僚制における水平的調整の分析」『國家學會雑誌』第108巻3・4号(1995年)
- 「内閣・官房・原局(1)――占領終結後の官僚制と政党」『法学』第59巻3号(1995年)
- 「『協議』の研究(3)――官僚制における水平的調整の分析」『國家學會雑誌』第108巻9・10号(1995年)
- 「『協議』の研究(4)――官僚制における水平的調整の分析」『國家學會雑誌』第109巻5・6号(1996年)
- 「内閣・官房・原局(2)――占領終結後の官僚制と政党」『法学』第60巻3号(1996年)
- 「『協議』の研究(4)――官僚制における水平的調整の分析」『國家學會雑誌』第109巻7・8号(1996年)
- 「戦後日本の『内閣官僚』の形成」日本政治学会編『年報政治学――オーラル・ヒストリー』(岩波書店, 2004年)
- 「『官房』の理論とその論理構造」『年報行政研究』第40号(2005年)