玄武岩
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玄武岩(げんぶがん、basalt)は、火山岩の一種。深成岩の斑れい岩に対応する。
火成岩は全岩化学組成(特にSiO2の重量%)で分類され、そのうち玄武岩はSiO2が45~52%で斑状組織を有するもの。斑晶は肉眼で見えないほど小さい場合もある。肉眼での色は黒っぽいことが多いが、ものによっては灰色に見えることもあり、また含まれる鉄分の酸化によって赤~紫色のこともある。
玄武岩マグマを生じる上部マントルの部分溶融度が大きければソレアイト玄武岩(tholeiitic basalt)、部分溶融度が小さければアルカリ玄武岩(alkali basalt)となる。
斑晶および石基として、有色鉱物である輝石・カンラン石、無色鉱物である斜長石等を含む。アルカリ玄武岩には角閃石の一種であるケルスート閃石や金雲母を含むこともある。
[編集] 名前の由来
英名"Basalt"の語源は、ギリシャ語の"basanos"(試金石の意味)に関係あるからとも、この石が豊富に産出されたヨルダン東部の地名Bashan(聖書ではオグ王国とされているところ)に由来し「Bashanの石」の意ともいわれている。
玄武岩の訳は兵庫県城崎温泉の近くにある玄武洞にちなんで小藤文次郎が明治17年(1884年)に命名したものである。玄武洞は約165万年前に噴火した溶岩流で、六角形の柱状節理が見事な玄武岩の岩山にある洞窟。ちなみに玄武とは、中国神話で方位を司る神(四神)のうち北方に相当する蛇と亀が合体した神体で、黒色の意味もある。
[編集] 生成する場所
玄武岩は地球表面で最も一般的に見られる岩石であるが、その生成する場所を列記する。
- 海嶺:プレートテクトニクスでは海嶺は新しい地表が生成されるところと説明されている。地下深部から上昇してきたマントル対流の表面が地表近くで冷却されて玄武岩となり、海洋底を形成する。すなわち大洋の底の岩盤は全て玄武岩である。海嶺が地上に出ているアイスランドの火山はほとんど全部玄武岩質である。
- ハワイなどのホットスポット火山や伊豆大島等の火山島、富士山などの火山。
- デカン高原のように非常に大量の玄武岩が地表に供給されることがある。プルームテクトニクスでは、地下深部の高温マントルの塊が上昇してきて(マントルプルーム)比較的短期間に大量の玄武岩質溶岩を噴出させたと説明されている。このタイプの噴火を洪水玄武岩と呼び、形成された地形を溶岩台地と言う。
玄武岩質溶岩は流動性が良く、高い山で噴火した場合遠くまで流れて溶岩流となり、平坦な場所で噴出すると平らな台地を形成する。
玄武岩には磁鉄鉱の成分が含まれており、弱い磁気を帯びている。この磁気の方向は溶岩が冷えて固まる時の地磁気の影響を受けている。地磁気は平均すると数万年単位でNとSが入れ替わるので、玄武岩の磁気を測定すれば噴火時期推定の有力なデータとなる。