琉球警察

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琉球警察（りゅうきゅうけいさつ）は、アメリカ施政権下の沖縄において琉球政府が設置した警察組織である。

[編集] 概要

沖縄戦における沖縄県警察部の消滅後、米軍によって徐々に警察機構が復活していき、1952年の琉球政府の発足に伴い、沖縄全域を管轄する「琉球警察」が設置された。米国民政府の圧力により、当初予定されていた公安委員会制度が採用されず、警察行政官庁として「警察局」が設けられたが、1969年になって、漸く公安委員会が設置された。1972年の日本復帰に伴い「沖縄県警察」に改組された。

アメリカの行政制度に基づく地方警察であるため、消防業務も担当していた。

[編集] 沿革

1945年6月9日、沖縄戦により、沖縄県警察部が解散。
1945年8月29日、沖縄諮詢会に保安部設置。
1945年11月22日、具志川村田場（現在のうるま市田場）に警察学校設置。
1946年2月1日、沖縄民警察部設置。
1950年11月1日、沖縄群島警察本部設置。（他の「群島」にも警察本部設置。）
1952年4月1日、琉球政府に行政官庁として警察局を設置し、執行機関として琉球警察本部を設置。（民政府布令第67号「警察局の設置」に基づく）
1957年6月20日、警察本部の長を警察隊長から警察本部長に改称。
1961年8月1日、出入国管理部を法務局に移管。（高等弁務官布令第39号「警察局設置法」に基づく）
1969年10月1日、警察法（1969年立法93号）により、公安委員会が設けられ、警察局が廃止。
1970年10月1日、消防業務を通商産業局に移管。
1971年9月25日、海上保安業務を通商産業局に移管。

[編集] 組織

[編集] 1952年4月1日時点

警察局
- 警察本部
  - 警務課
  - 教養訓練課 - 警察学校
  - 刑事課
  - 消防課
  - 交通課
  - 海上保安課
  - 出入国管理課

[編集] 1972年5月14日時点

公安委員会
- 警察本部
  - 警務部
    - 警務課、会計課、教養課、通信課、監察官室
  - 刑事部
    - 捜査第一課、捜査第二課、防犯少年課、保安課、鑑識課、科学検査室
  - 警備部
    - 警備課、外勤課、機動隊
  - 交通部
    - 交通指導課、運転免許課
  - 警察学校

[編集] 警察署

1972年時点

那覇警察署
普天間警察署
糸満警察署
与那原警察署
コザ警察署
嘉手納警察署
具志川警察署
石川警察署
名護警察署
渡久地警察署
宮古警察署
八重山警察署

[編集] 歴代警察幹部

[編集] 歴代警察局長

初代　仲村兼信（1952年4月1日～1956年7月30日）
2代　西平宗清（1956年7月31日～1961年4月30日）
3代　与儀幸雄（1961年5月1日～1963年4月26日）
4代　幸地長恵（1963年4月27日～1968年8月21日）
5代　新垣淑重（1968年8月22日～1969年9月30日）

[編集] 歴代公安委員

1期　宮里栄輝、兼本長英、比嘉利盛（1969年10月1日～1969年10月29日）
2期　石原昌直、大里喜誠、奥島憲雄（1969年11月7日～1972年5月14日）

[編集] 歴代警察本部長（隊長）

初代　西平宗清（1952年4月1日～1956年7月30日）
2代　大嶺永三（1956年7月31日～1960年4月1日）
3代　与儀幸雄（1960年4月2日～1961年4月30日）
4代　幸地長恵（1961年5月1日～1963年4月26日）
5代　新垣淑重（1963年4月27日～1968年8月21日）
6代　新垣徳助（1968年8月22日～1971年12月5日）
7代　安座間喜徳（1971年12月6日～1972年5月14日）

[編集] 服制

「警察官服制」（警察局規則甲第6号）により定められた。基本的に当時の日本の警察官と同じ制服であるが、一連番号が付いた「警察官章」を左ポケットの上に付けていたところが異なる点である。

[編集] 主な事件

1954年11月7日　沖縄刑務所暴動事件

沖縄刑務所（当時は那覇市楚辺）で暴動が発生し、刑務所が受刑者に占拠され、一部の受刑者は脱獄した。11日になって漸く鎮圧された。（脱獄者も全員逮捕）
1959年6月30日　米軍ジェット機宮森小学校墜落事故

石川市（現在のうるま市）の宮森小学校に米軍ジェット機が墜落。死者17人、重軽傷者210人の大惨事となった。この事故で住居17棟・公民館1棟・学校3教室が全焼し、住居8棟・学校2教室が半焼した。
1962年12月8日　主席指名阻止立法院乱入事件

行政主席指名の阻止を図ろうとして、左翼団体が立法院に乱入し、指名投票が不可能になった。そのため、警官隊が院内に入り退去命令を出した。
1965年6月29日　アメックス銀行二二万ドル盗難事件

北中城村のキャンプ瑞慶覧内のアメリカン・エキスプレス銀行へ行く現金輸送車（米軍憲兵も同乗）から現金22万7600ドルが消えた事件である。米軍も威信をかけて捜査にあたったが難航し迷宮入りの様相を呈したが、2年後にその輸送車の乗組員が真犯人と分かり、仲間も含めて13人が逮捕・書類送検された。
1965年7月24日　宮古農民騒動事件

宮古諸島における製糖会社合併に反対する農民等が引き起こした暴動で、警察官34人が負傷し、26人が逮捕された。後に指導者8人も逮捕された。
1967年2月24日　教公二法事件

「地方教育区公務員法」「教育公務員特例法」阻止のためにデモ隊が立法院を包囲し、議事進行を不可能にし、廃案にもちこんだ。琉球警察の警備力の限界を露呈した事件である。
1968年7月5日　琉銀若松支店強盗事件

琉球銀行若松支店に二人組の強盗が押し入り、行員に重傷を負わせ、現金5万ドルを奪って逃走した事件。捜査の結果、現職の弁護士（元検事）や暴力団員ら4人が逮捕された。
1969年7月25日　米国民政府乱入事件

米国民政府構内に数十人の学生が乱入し、星条旗を引きずり降ろして、垂れ幕を垂らして気勢を上げた。警察は乗っていたバスごと警察本部へ連行し、同乗していた参加者76人を逮捕した。
1970年12月20日　コザ事件

米軍人が起こした交通事故に端を発した暴動で、30数人が負傷し、米軍車両・米軍関係者の乗用車75台を焼き払った。

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