田中貴子
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
田中貴子(たなか たかこ 1960年11月18日- )は、京都市出身の国文学者。中世文学専攻。『渓嵐拾葉集』の研究で博士号取得。甲南大学文学部日本語日本文学科教授。
当初はフェミニズムの論客ともみられていたが、いわゆるフェミニストが古典文学や日本の歴史にあまりに疎いことに失望して距離をおき、近年は怪異・妖怪等の研究に取り組むものの、現在は高等学校における古文教育や、美術と文学に興味を移している。本業はあくまでも14世紀の天台僧が書いた『渓嵐拾葉集』の研究である。
[編集] 経歴
奈良女子大学文学部国語国文学科卒。広島大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。広島大学助手、池坊短期大学専任講師、梅花女子大学助教授、京都精華大学助教授を経て、甲南大学文学部日本語日本文学科教授。「玉女の成立とその限界」で古典文学会賞受賞、1992年、『「悪女」論』で話題になる。2002年、『「渓嵐拾葉集」の基礎的研究』で神戸女子大学から博士号を取得、2004年、『あやかし考』でサントリー学芸賞受賞。
[編集] 著作
- 『「悪女」論』(紀伊国屋書店、1992年、のち『悪女伝説の秘密』と改題して角川ソフィア文庫)
- 『外法と愛法の中世』(砂子屋書房、1993年、のち平凡社ライブラリ-、2006年)
- 『百鬼夜行の見える都市』(新曜社、1994年、のちちくま学芸文庫)
- 『聖なる女-斎宮・女神・中将姫』(人文書院、1996年)
- 『日本古典への招待』(ちくま新書、1996年)
- 『性愛の日本中世』(洋泉社、1997年、のち(ちくま学芸文庫、2004年)
- 『日本ファザコン文学史』(紀伊国屋書店、1998年)
- 『室町お坊さん物語』(講談社現代新書、1999年)
- 『仏像が語る知られざるドラマ』(講談社+α新書、2000年)
- 『鈴の音が聞こえる-猫の古典文学誌』(淡交社、2001年)
- 『『渓嵐拾葉集』の世界』(名古屋大学出版会、2003年、博士論文)
- 『安倍晴明の一千年-「晴明現象」を読む』(講談社選書メチエ、2003年)
- 『もてようがない男だまされやすい女 凡人でも非凡に生きられる知恵』(講談社+α新書、2003年)
- 『古典がもっと好きになる』(岩波ジュニア新書、2004年)
- 『あやかし考不思議の中世へ』(平凡社、2004年)
- 『尼になった女たち』(大東出版社、2005年)
- 『鏡花と怪異』(平凡社、2006年)
- 『検定絶対不合格教科書古文』(朝日選書、2007年)