白砂青松
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
白砂青松(はくしゃせいしょう)とは、白い砂と青々とした松(クロマツ)により形成される、日本の美しい海岸の風景のたとえ。「はくさせいしょう」とも読むことがある。
白砂青松の景色を描いた典型像を「住吉模様」といい、現在の大阪市住吉区にある住吉大社の社前の景色(現在は市中だが、かつては海に面していた)を描いたとされる。住吉大社近くの大阪市住之江区安立(あんりゅう)には、天武天皇の子の長皇子が『万葉集』に風光明媚を歌った霰松原の跡地がある。
古くから景勝地・観光地として有名だった多くの砂浜は、戦後、コンビナート用地や港湾用地として埋め立てられ消えてしまった。現在では、以下のようなさまざまな要素で失われている。
1987年には、社団法人日本の松の緑を守る会が、日本の白砂青松100選を選定し啓蒙に努めている。
ただし、海岸であっても多少とも安定した地盤では、次第にトベラやヒメユズリハ、ウバメガシといった潮風に強い常緑広葉樹林に遷移してゆくとの考えもあり、この考えに立てば、少なくとも海岸のマツ林の一部は、むしろ人間による攪乱によって維持されていた可能性がある。