白金耳
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
白金耳(はっきんじ)は、白金ないしそれに準ずる反応性の少ない材質でできた針金に持ち易い柄を付けたもので、主に微生物の移植に用いる。先端の形状は、何も処理をしていない針金のものや、直径 2 mm 程度のループ状にしたもの、かぎ状にしたものなど、用途に合わせて作成する。ループ状になっているものが一般的である。
直線は高層培地への穿刺培養等、ループ状は平板培養への塗沫や菌の植え継ぎ等、かぎ状は釣菌等に使用される。ループ状のものは表面張力によりループ内に液体を保持できるため、増菌後の液体培地から菌液を採取するのにも用いられる。
白金耳は使用の際、コンタミネーションを防ぐため、必ず滅菌してから使用する。一般的には火焔滅菌が用いられ、ブンゼンバーナー等の炎で赤熱するまで加熱し、培地の空きスペースなどで冷やしてから試料を採取する。火焔滅菌の場合、菌が付着した場所は、まず炎の内炎部に素早く差し込み、ゆっくりと引き上げて温度が高い外炎部で滅菌を完了させる。これにより、内炎部で熱により菌が飛散(はじける)した場合でも、外炎部に阻まれて周辺を汚染することがない。但し更に危険度が高い菌を扱った場合や、汚染を防ぐ必要がある場合は、菌が付着した白金耳を直接火焔滅菌せず、適切な消毒液(消毒用エタノールなど)に暫く浸してから火焔滅菌を行う。