眼鏡フェティシズム
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眼鏡フェティシズム(めがね-)は、眼鏡をかけた異性に性的興奮を覚えるというフェティシズム的服装倒錯症に分類される性的倒錯。
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[編集] 概要
異性愛者もしくは同性愛者が眼鏡をかけた性的パートナーに対して、眼鏡をかけたままの性行為などを強要する場合、この性的倒錯(この場合はパラフィリア、もしくはフェティシズム的服装倒錯症)に当てはまると言える。また、パートナーの眼鏡のみに性的興奮を覚える場合はフェティシズムに分類される。主に日本で近年広まった概念であり、実際にフェティシズムと呼べるほどの性的逸脱にあるかどうかは不明。眼鏡をかけたままの性行為の目的が、顔などを見る、見せるための場合はあてはまらないからである。
[編集] 背景
眼鏡をかけることは視力の矯正以外の意味を持たない。しかし、眼鏡は近代になって発達した道具であり眼鏡をかけることは、眼が悪くなるほど勉強をした、眼が悪くても文字等を読む必要がある、という勤勉というイメージを植え付けていった。そのため日本における少年漫画を中心としたフィクションでは、眼鏡をかけたキャラクター=知性的という刷り込みがなされた。一方でスポーツの世界では視力が悪いことはマイナスであり、挫折の原因ともなった。そのため眼鏡はマイナス要因として不活発、内向的というイメージ形成にもつながった。『スーパーマン』シリーズにおいて用いられた、主人公が眼鏡を外すと無敵のヒーローとなる、という演出は後に各地で模倣され、日本の少女漫画では眼鏡を外すと美人、という演出が頻出し、眼鏡はキャラクターを演出する小道具としての意味をもたされていった。
1980年代前半までは眼鏡はマイナスイメージという認識があった。漫画家のとり・みきは著書の『クルクルくりん』の後描きにおいて、主人公の眼鏡を外すように編集者から求められたことを告白している。その後『Dr.スランプ』のヒットもあり、眼鏡のマイナスイメージは軽減されていった。
1990年代以降、オタク的サブカルチャーが拡大する一方で、知性的理性的な女性に対する性的嗜好を表現する際に、次第に眼鏡が用いられていった。AV女優にも眼鏡をかけた女性がごくわずかだが見られ、一般のグラビアアイドルにも眼鏡姿を写した写真が散見出来るようになった。2000年代に入ると「眼鏡っ娘」という言葉が広まり、眼鏡がマイナスでは無くプラスイメージとしてとらえる層が存在し始めた。特に同人誌やアダルトゲームといったオタク的サブカルチャーにおいてその傾向は顕著で、眼鏡をかけたキャラクターのみを扱ったものが出るなど眼鏡フェティシズムを略した眼鏡フェチ(眼鏡っ娘萌え)と呼称されるジャンルになりはじめている。前述のとおり、本当の意味のフェティシズムと言えるかは不明である。
[編集] 偏見からの脱皮
そんななか、実社会でも眼鏡っ娘が表に出るようになる。今までは男の眼鏡は七難隠すが女の眼鏡はとかくマイナスイメージが強かった。これは日本や韓国などで見られることで、たとえば、欧米では見られる眼鏡を掛けた航空機の女性客室乗務員も緊急時に危険などといわれの無い差別に晒されている。また、最近は散見されるようになったが、女子アナウンサーの眼鏡も不文律でご法度だった。韓国の場合、1988年に開催されたソウルオリンピック会場では、女性は眼鏡を掛けられなかった。それらの事象はこれら眼鏡っ娘の市民権確保により、いまや昔のこととなりつつある。