瞬間接着剤
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瞬間接着剤(しゅんかんせっちゃくざい)とは、有機化合物であるシアノアクリレート(cyanoacrylate)を主成分にした接着剤のこと。空気中などの水分に瞬間的に反応して硬化する。日本では、1980年代に東亞合成化学株式会社がアロンアルファの商標で発売。一般にあり得ないもの同士を接着する派手なCM戦略がヒットし、他社製品を含め広く一般に普及した。
水状のタイプとゼリー状のタイプがある。水状のタイプは繊維にしみこむので、糸や布の固定に向いており、ゼリー状のタイプはたれにくいので、垂直面での使用に向いている。
[編集] 接着の仕組み
- シアノアクリレートは一般にはモノマーの状態であり、水のような粘性の低い液体であるが、接着するものに付着しているほんのわずかな水分によってシアノアクリレートが瞬間的に重合を開始、シアノアクリレートがポリマーとなって一瞬で被接着物同士が固定され、接着される訳である。
- 他にも「スーパーセット」等に付属している硬化促進剤を使用することで通常よりも短時間に、しかも強力に接着できる。(瞬間接着剤が硬化する仕組みは上記の仕組みと同じであると思われる。)
[編集] 用途
- 表面が平滑な金属、硬質プラスチック、ゴム同士の接着では、垂直方向に極めて強固な接着力を示す。ただし衝撃には弱いため、半永久的な目的の接着には向かない(耐衝撃性を高めた接着剤もあるが、硬化時間は10分を超え、瞬間接着剤の範疇外となる)。
- 医療用の瞬間接着剤もあり、手術などの際に用いられることがある(剥離剤も存在する)。
- 化石などの発掘の際、仮止めに用いられることもある。
[編集] 注意点
- 子供のイタズラや接着剤の液漏れなどで、指同士を接着して取れなくなる事故がしばしば発生する。専用の剥離剤も市販されているが、有機溶剤を含むので取り扱いには注意すること。
- 身体の危険な箇所に接着剤をつけてしまった場合には、無理に剥がさず病院に連れて行き、医療用の剥離剤で対処してもらったほうがよい。
- 繊維、特に化学繊維に染み込むと激しく反応し、100度を超える高温となる。火傷しないように扱いには注意すべきである。
- 硬質プラスチックに使用すると、接着面の周囲が白くなる(白化)現象が起きることもある。強く擦ることで落とすことはできるが、周囲の仕上げに影響が出ることもあり、接着の際は加工の順序を考慮(接着後に仕上げ)したほうが良い。
- 保管中の劣化が早く、メーカーの話によれば未開封のままの常温保存でも製造より1年程度で固化してしまう。そのため、店頭陳列している商品の購入時は、製造年月日をチェックすることが望ましい。なお、冷蔵庫で保存すれば劣化を抑えることができる。