石窟庵
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石窟庵(ハングル:석굴암、ソックラム)は、大韓民国慶州市の郊外にある仏教遺跡。韓国仏教美術を代表する世界的な傑作品ともいわれている。
1995年、仏国寺とともに世界遺産(文化遺産)に登録。また大韓民国の国宝第24号として指定されている。
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[編集] 構造
吐含山の麓にある。
石窟は、花崗岩を組み合わせて人工的に作られている。内部構造は、入り口から前室・扉道・主室の3つに分かれている。前室は本尊が東の方向を向くように設計されている。一番奥の主室に本尊である釈迦如来坐像が設置されている。主室はドーム型の形状、前室・扉道は直方体の形状をしている。花崗岩を積み上げた後、土が被せられたと考えられている。花崗岩の壁には、菩薩像や四天王像などの石仏が掘り込まれている。扉道の入り口両側に仁王像が彫られている。
本尊は、高さ3.4mの釈迦如来坐像である。釈迦如来坐像の額には、宝石が埋め込まれている。東から昇る太陽により石窟内に日差しが入ってくると、額の宝石が光る設計になっている。
[編集] 歴史
新羅の景徳王の時代、宰相の金大城(キムデソン)により751年頃、建立された。『三国遺事』には金大城が前世での父母のために建立したと記述されている。当時は、石窟寺と呼ばれていたらしい。
儒教が浸透し、仏教が廃れてくると放棄されたようである。
1909年、雨宿りの場所を探していた郵便配達人によって偶然再発見された。 1913年から三回に渡り、大規模な修復工事が行われる。しかし無計画に行われたため建立当時の石像の配置が分からなくなってしまった。石窟の周囲には、配置する場所がわからなくなってしまった石材が放置されたままになっている。またコンクリートで補修されたため石窟内部に蒸気が篭るようになってしまった。
2004年現在、入り口がガラス板で覆われ、室内の湿度が常にコントロールされている。このため一般の見学者は、石窟内部に入ることができない。
[編集] その他
一時、1万ウォン札の肖像として、石窟庵の石仏が描かれていた。しかし特定宗教を利するという理由で、1972年に廃止された。