磁性流体
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磁性流体(じせいりゅうたい, Magnetorheological fluid, Magnetic Fluid)とは、流体でありながら、磁性を帯び、砂鉄のように磁石に吸い寄せられる性質を持つ機能性流体(Ferrofluid)の一つである。
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[編集] 構成
磁性流体は極めて微細な強磁性体である酸化鉄などの粉体、界面活性剤、ベース液(水や油)の3つで構成される。粉体に界面活性剤を付着させベース液に分散させると、界面活性剤が粉体同士の凝集を拒む働きをし、ベース液に安定して分散する。安定に分散することで磁性を帯びた液体として機能する。
[編集] スパイク現象
永久磁石などの磁場を発生する物を至近距離に置くと、その磁力線の流れに沿って磁性流体から角が生えたような突起が形成される。これをスパイク現象といい、流線型に突起が形成される形状はとても美しく、この現象を利用し芸術作品が作られることがある。
[編集] 歴史
磁性流体は1960年代にNASAで宇宙服の可動部のシール材として開発された。
現在においてもその性質、用途などにおいて多くの提案、研究が進んでいる。
[編集] ベース液
磁性流体のベース液は使用される環境や用途によって決められる。
また、ベース液に対して界面活性剤は対となる物質であるためベース液は限定された種類となる。
- 水
- イソパラフィン
- アルキルナフタレン
- パーフルオロポリエーテル
- 他
[編集] 応用例
- 回転軸のシール(磁性流体シール)
- ダンパー
- スピーカー
- センサー
- 比重差分離
- 磁区観察