福澤心訓
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
「福澤心訓」(ふくざわしんくん)は福澤諭吉が作成したとされる7則からなる教訓である。「福沢心訓」、「福沢諭吉翁心訓」、「福沢心訓七則」、「諭吉心訓」、「心訓」、「七則」などとも呼ばれる。実際は福澤の作ったものではなく、作者不明の偽作である。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] 内容
以下、清水義範 『福沢諭吉は謎だらけ。心訓小説』 小学館の17-18頁から引用する。
- 心訓
- 一、世の中で一番楽しく立派な事は、一生涯を貫く仕事を持つという事です。
- 一、世の中で一番みじめな事は、人間として教養のない事です。
- 一、世の中で一番さびしい事は、する仕事のない事です。
- 一、世の中で一番みにくい事は、他人の生活をうらやむ事です。
- 一、世の中で一番尊い事は、人の為に奉仕して決して恩にきせない事です。
- 一、世の中で一番美しい事は、全ての物に愛情を持つ事です。
- 一、世の中で一番悲しい事は、うそをつく事です。
[編集] 成立
「福澤心訓」は作者不明の偽作であるため、いつ、誰が、何の目的で作成したのか不明である。
小説家の清水義範は、小説中の文学探偵の推理として、福澤諭吉の「ひびのおしえ」にある「おさだめ」を参考にして「福沢心訓」が作成されたではないかとしている。それは、「おさだめ」の第1番「一、うそをつくべからず」が「福沢心訓」の「一、世の中で一番悲しい事は、うそをつく事です」に類似し、「おさだめ」の第7番「一、ひとのものをうらやむべからず」が「福沢心訓」の「一、世の中で一番みにくい事は、他人の生活をうらやむ事です」に類似しているからである。[1]
以下、参考のため、『福沢諭吉選集〈第3巻〉』(岩波書店)収録の「ひゞのをしへ」から引用する。
- おさだめ
- 一、うそをつくべからず。
- 一、ものをひらふべからず。
- 一、
父母 にきかずしてものをもらふべからず。- 一、ごうじやうをはるべからず。
- 一、兄弟けんくわかたくむよふ。
- 一、人のうはさかたく無用。
- 一、ひとのものをうらやむべからず
さらに、清水義範は、小説『福沢諭吉は謎だらけ。心訓小説』中の文学探偵に、いつごろ、誰が、何を目的として、「福沢心訓」を作成したのか推理させている。
[編集] 参考文献
- 清水義範 『福沢諭吉は謎だらけ。心訓小説』 小学館、2006年。ISBN 978-4093861670
- 「福沢心訓」をめぐる推理をもとにした小説。「心訓」ポスターが特別付録として載録されている。
- 福澤諭吉 『福沢諭吉選集〈第3巻〉』、岩波書店、1980年。ISBN 978-4001006735
- 「ひゞのをしへ」の全文が収録されている。
[編集] 参照
- ^ 清水義範 『福沢諭吉は謎だらけ。心訓小説』 小学館、2006年、ISBN 978-4093861670、103-108頁を参照。
[編集] 外部リンク
- 『慶應義塾豆百科』のNo.98「福澤心訓」
- 小学館:福沢諭吉は謎だらけ。
- 平山洋氏の仕事(平山洋)