笑の大学
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『笑の大学』(わらいのだいがく)は、三谷幸喜脚本による日本の演劇作品。ラジオドラマ版・舞台版・映画版の3バージョンが存在する。ストーリーは各バージョンともほぼ共通だが、役者に合わせた当て書きのため脚本は各々で書き直されている。
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[編集] ストーリー
舞台は昭和15年。日本は戦争への道を歩み始めつつあった。国民の娯楽である演劇は規制され、台本も上演前に検閲を受けていた。そんな時代に、警視庁の取調室で笑ったことがない検閲官・向坂睦男と劇団「笑の大学」座付作家・椿一が出会う。向坂はこのご時世に喜劇など上演する意味がないと考えているため、“笑の大学”を上演中止に持ち込むべく、椿の台本に対して「笑」を排除するような無理難題を課していく。しかし、椿は上演許可を貰うため、向坂の要求を飲みながらも「笑い」を増やす抜け道を必死に考えていく。
[編集] ラジオドラマ版
[編集] キャスト
- 向坂睦男(さきさかむつお・警視庁保安課検閲係) - 三宅裕司
- 椿一(つばきはじめ・劇団『笑の大学』座付作家。喜劇作家・菊谷栄がモデル) - 坂東八十助 (5代目)
- おでん屋のおやじ - 小林隆
[編集] スタッフ
- 原作・脚本:三谷幸喜
[編集] 舞台版
1996年初演。1998年再演。 1997年2月に1996年度読売演劇大賞を受賞。
2005年6月に1998年の再演を収録したDVDがパルコ より発売されている。
なお、このロシア語訳版がロシア・モスクワで上演されている。 また、イギリスでの上演も予定されている。
[編集] キャスト
[編集] スタッフ
[編集] 映画版
2004年10月30日公開。監督は星護。1996年の舞台版を観て強い衝撃を受けたプロデューサーが、三谷幸喜に映画化を申し入れたことにより誕生した。三谷は、監督を星護が担当するなら、と了解を出すが、星護が拒否。星曰く「これほど完成された作品を映像化などできない」との事だった。しかし、その後の説得で8年越しで映画化にこぎ着けた。
舞台との差別化を図る為、キャストを大幅に増やした。(舞台版では名前だけ出ててきた人物を登場させる) ストーリーそのものは舞台版と全く同じであるが、場面やキャストを増やしたことで、映画的な奥行が広がった。
セットにもこだわり、取調室のセットは、縮尺模型を使って何度も検証した。 警視庁の建物は、横浜にある旧神奈川県庁舎、事務所は開港記念会館を使用し、昭和初期の雰囲気を見事に再現した。 また、浅草の街並はオープンセットを使い、多数のエキストラや、色とりどりの幟旗を使って、にぎわいを表現している。また、この街並のシーンでは、木梨憲武演じる劇場支配人や、加藤あい演じるカフェの女給といった隠しキャストが確認できる。
冒頭で、役所広司が次々にハンコを捺していくシーンは、すべて実際に役所広司の手によるもの。
興行収入7.2億円。
[編集] キャスト
- 向坂睦男 - 役所広司
- 椿一 - 稲垣吾郎
- 廊下の制服警官 - 高橋昌也
- 青空寛太 - 小松政夫
- モギリのおばさん - 石井トミコ
- ロミエット - 小橋めぐみ
- ジュリオ - 河野安郎
- 石川三十五右衛門 - 長江英和
- チャーチル - ダン・ケニー
- ヒトラー - チュフォレッティ
- 戯作者 - 吉田朝、陰山泰、蒲生純一、つじしんめい、伊勢志摩、小林令門
- 貫一 - 眞島秀和
- お宮 - 木村多江
- 警官大河原 - 八嶋智人
- ビヤホールの女給 - 加藤あい
- 劇団の支配人 - 木梨憲武
[編集] スタッフ
- 原作・脚本:三谷幸喜
- 監督:星護
- 製作:亀山千広、島谷能成、伊藤勇
- 企画:石原隆
- プロデューサー:重岡由美子、市川南、稲田秀樹
- アソシエイトプロデューサー:小川泰、佐藤玄
- エグゼクティブプロデューサー:前島良行
- 音楽:本間勇輔
- 撮影:高瀬比呂史
- 美術:清水剛
- 照明:小野晃
- 録音:田中靖志
- 装飾:高畠一朗
- 編集:山本正明
- スクリプター:外川恵美子
- 監督補:加門幾生
- 製作担当:牧義寛