経済大国
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経済大国(けいざいたいこく:economic power)とは、経済の分野において、世界に対して大きな影響力を持っている国家である。
[編集] 概要
厳密な定義はないが、GDP(国内総生産)が世界の総生産に占める割合の大きい国が経済大国と呼ばれる。現在、経済大国と呼ばれる国は、アメリカ合衆国、日本国、ドイツ連邦共和国である。
ただし、経済大国が他の先進国より、一人当たりGDPが大きいとは限らない。
経済大国は、大きな市場を持っているため、他国の輸出を吸収する力がある。輸出は乗数効果を輸出国のGDPにもたらす。このため、経済大国の景気循環は各国の国民経済や世界経済に多大な影響をもたらす。
資本蓄積が進展しているため、資本輸出の余力が大きい。特に、ドイツや日本は経常黒字を背景に継続的な資本輸出を行なっており、諸外国の工業化を支えている。
金融市場が発達しており、流動性も高いため資金調達や運用の中心となる。
多数の多国籍企業を抱えており、世界規模の経済活動を行なっている。このことが、グローバル化を通じて発展途上国へ成長機会をもたらしている。
現在、GDPの上位10位に入る国はアメリカ、日本、ドイツ、イギリス、フランス、中華人民共和国、イタリア、スペイン、カナダ、ロシアである。
なお東京都(多摩地方と伊豆小笠原諸島を含める)の総生産は日本の国内総生産の1/6を占め、その額は84兆7628億円(2001年度)である。
[編集] 歴史
付加価値の生産力を持って経済力とするならば、産業革命前まで中国が世界一の経済大国であった。その後、イギリスが世界一の生産力を誇るが、19世紀末の長期不況、第一次世界大戦を経てアメリカが世界最大となる。
第二次世界大戦後、アメリカは世界総生産の半分弱を占めるほどの経済大国となるが、欧州や日本の経済復興の中で相対的に成長は鈍化し、その割合は次第に低下していった。
1980年代後半、欧米が高めの失業や不良債権により経済的失速を経験する中、日本が高めの経済成長を達成し、近い将来に規模でアメリカを抜き世界一の経済大国になるのではないかという予測もなされた。結果的に1990年代の経済低迷により日本が世界総生産に占める割合は低下した。
1990年代、アメリカは先進国の中でも安定的に経済成長を達成し、21世紀初頭の現在でも世界最大の経済大国となっている。20世紀末からは中国の経済成長が著しく経済大国化の道を歩んでいる。
[編集] 関連項目
- 国の国内総生産順リスト
- 大国
- 軍事大国
- 福祉大国
- 帝国主義
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