縊死
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縊死(いし)とは死因の一つで、頸部を圧迫されることで呼吸や血流が阻害され、脳や臓器に回復不能な負担がかかることによって死亡すること。
[編集] 首絞め
頸部を垂直に圧迫し、気管を閉塞させることで呼吸が出来ないようにし、死に至らしめるもの。実際には完全に意識を失うまで数十秒~5分程度を要し、個人差はあるが、絶命にはさらに5~10分程度を圧迫し続ける必要がある。ドラマなどの中で、わずか数秒程度の頸部圧迫で殺害する場面をよく見かけるが、これは誤りである。
[編集] 首吊り
頸部を斜めに圧迫すると、頸部大動脈(頸動脈と椎骨動脈)、気管などが強く圧迫され、窒息状態となる。これらにより、血液が脳に供給されなくなり、中枢の機能が停止し絶命に至る。多くの場合、自殺に用いられる。
絞首刑における首吊りは、絞首台を使用し、高所より落下するエネルギーを用い、その衝撃で頚椎損傷などを起こし、即、意識を失い、確実に死に至らしめる。『完全自殺マニュアル』では、「身も蓋もない結論を言ってしまうようだが、首吊り以上に安楽で確実で、そして手軽に自殺できる手段はない。他の方法なんか考える必要はない。」と書かれている。 しかし、通常の首吊りの場合、高所より落下するエネルギーが加わらない高さで行うケースもあるため その場合はしばらくは意識が残り、死までの苦しみが伴うケースもあるとも言われる。ただし、ドアノブに縄をつけてもたれかかるなどの低い位置からの首吊り方法でもうまくやれば無苦痛で死ねるともいう。
首吊り後、早くに脱出あるいは救助されればほぼ後遺症を残さず生き残れる可能性もあるが、5分を超えてからは高次脳機能障害や麻痺など中枢に関与する様々な後遺症を残す可能性があり、また、頚椎損傷などの物理的な損傷が加わっていれば、さらに後遺症を悪化させる要因になる。
フランク永井は、1985年10月に首吊り自殺を図り一命を取り留めたが、懸命のリハビリテーションにも拘らず、自分の名前の読み書きは出来る・かつての自分の持ち歌をカラオケで歌える・散歩はできるといった程度の回復が限界で、見舞いに訪れた友人の面識がないなど、重篤な高次機能障害による記憶障害や麻痺などを残している。