羅漢果
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羅漢果(らかんか、ラカンカ。中国語 ルオハングオ luóhànguǒ)は、中国広西チワン族自治区を原産地とするウリ科ツルレイシ属(ニガウリ属)の多年生つる植物であるMomordica grosvenori Swingle(植物の和名はないが、便宜的にモモルディカと呼ばれることがある)の果実。
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[編集] 名前の由来
産地において、特殊な薬効をもつ実であることから、仏教の聖人賢者である羅漢のようだということで名付けられたとも、まん丸の実が剃髪した羅漢の頭に見えるからとも言われる。
[編集] 産地
広西チワン族自治区の桂林の西南部に位置する永福県、融安県、臨桂県が主要な産地で、この3県の生産量が世界の約9割を占める。
[編集] 用途
[編集] 甘味料
甘味成分を含んでおり、食用とされるが、通常生では使わず、乾燥させ砕いたものを煎じて羅漢果茶として飲んだり、料理の甘味料として使われる。羅漢果を水やメタノールなどで抽出したものを、ラカンカ抽出物という名称で食品材料として用いることもある。日本には生の果実は輸入されておらず、乾燥した羅漢果が輸入されている。
羅漢果の甘味成分は、多くは葡萄糖と果糖であるが、特有の強い甘みをもつ成分としてモグロシド(あるいはモグロサイド)と呼ばれるトリテルペン配糖体を含む。モグロシドはヒトがエネルギー源として利用できないため、モグロシドやラカンカ抽出物は、他の植物性の甘味配糖体と同様にダイエット甘味料として食品添加物などに利用されることがある。ただし、モグロシドは他の食品添加物に比べて比較的新しく発見されたものであるため、その安全性の評価がまだ十分ではないとして、一部の生協などでは添加物としての使用を見合わせている。
[編集] 薬用
モグロシドなどの成分単体、あるいは羅漢果の抽出物についてその薬理作用の解析も行われており、すでに健康食品として販売しているところもあるが、その具体的な薬効についてはまだ十分には解明されていない。
中国においては、経験的に喉や肺を潤し、鎮咳作用があることが知られており、日本においてものど飴に抽出物を添加しているものがある。また、便秘解消の効果もあるとされる。