ステビア
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?ステビア | ||||||||||||||||
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分類 | ||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||
Stevia rebaudiana | ||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||
stevia |
ステビア(アマハステビア、学名: Stevia rebaudiana)は、パラグアイ原産のキク科の多年草。草丈は50cmから1m前後、茎は白い細毛に覆われている。夏から秋にかけて、枝先に白い小花を咲かせる。
南米原産でペルーの先住民は避妊に使用したとされるがその後の研究で避妊効果は否定された。 ブラジル及びパラグアイの先住民が単に甘味料として用いるだけでなく、医療用として、心臓病、高血圧、胸焼け、尿酸値を低くするなどの目的で使用してきた。(Lewis,W.H. (1992) Early uses of Stevia rebaudiana (Asteraceae) leaves as a sweetener in Paraguay)
甘味成分として、ステビオシド(ステビオサイドともいう)やレバウディオサイドAといったテルペノイドの配糖体を含んでいるため、甘味料として用いられる。また、マイワシ油を使った抗酸化力の実験(東北大学農学部)では、ステビアの茎を熱水抽出したものは緑茶の5倍以上の抗酸化力が証明された。(東北大学農学部佐藤實・竹内昌昭:「ステビアの抗酸化活性とその利用」、食品と開発、vol.31, no.10, 1998)
日本には1971年に導入された。ステビオシドは砂糖の200~300倍の甘味度を持つが、4kcal/gという低カロリーであるため、ダイエット用食品や糖尿病患者用メニューなどに砂糖の代わりとして用いられている。1990年に大塚製薬のポカリスエットで「ステビア味」が発売され、日本国内では広く一般的知名度を獲得した。ハーブとしては、糖尿病や高血圧の治療や健胃剤、二日酔い症、精神的疲労の強壮剤として利用されている(農水省農事試験場畑作部:「新甘味資源植物「ステビア」について」昭和49年1月)。
甘い味の醤油が好まれる九州地区向けの醤油には各メーカーがステビアを用いることも多い。 原産国パラグアイでは古くからマテ茶などに甘味を付与するためや薬草として用いられてきた。整腸剤として、また全身に塗って美容や虫除けとしても利用された。
宮崎県のミカン栽培農家が堆肥として用い、有効であったことから、「ステビア農法」なる有機栽培農法も生まれている。
動物実験によれば、生体内に取り込まれたステビオシドは腸内では吸収されず、腸内細菌によってステビオールに分解される。このステビオールは最終生成物であり、構造を変えずに排出されることがわかっている(E.KOYAMA等 Absorption and metabolism of glycosidic sweetners of stevia mixture and their aglycone, steviol, in rats and humans, Food and Ghemical Toxicology, 41, 875-883, 2003)。
ただしステビアの抽出物が食品添加物として認可されているのは日本、ブラジル、韓国などであり、アメリカやEU諸国、シンガポール、香港などでは業界のロビー活動により認められていない。ステビア抽出物を甘味料として使用した日本のインスタント食品や清涼飲料水、スナック菓子などが、それらの国で販売禁止になったり、撤去されるなどの事件も起こっている。
だが、日本が中心となって、JECFA(国連食糧農業機関と世界保健機関の合同食品添加物専門家会議)へ平成15年3月、厚生労働省を通じて申請し、平成16年6月のJECFAにおいて、ステビア甘味料の暫定ADI(それ以下では有害な影響がない限界値)が設定され、国際的にステビアの安全性が認められた(第63回JECFA資料より 3.1.6 Steviol glycosidesの項)。 さらに食品添加物として認可していないアメリカでも1994年からサプリメントとしては認めているという矛盾も起こしている。
2006年5月25日~27日に行われた「第49回日本糖尿病学会年次学術集会」にて、千葉大学薬学部の研究グループにより、ステビアがⅡ型糖尿病の原因とされる「インスリン抵抗性」を細胞レベルで改善する可能性があるという、自然抽出物では世界初めての発表があった(5月26日 Ⅱ-9-25 薬用植物STEVIAの抗糖尿病作用に関する分子薬理学的研究STEVIOSIDEのインスリン抵抗性改善作用 千葉大学大学院薬学研究院薬物治療学)
他にも東北大学からはヒスタミンの解毒作用も確認されている (佐藤實他;「ステビア抽出物のニジマスにおけるヒスタミンの解毒作用について」平成9年度日本水産学会秋季大会講演要旨集、1997)。
現在では甘味料としてだけでなく、ステビアの茎の部分を主原料とし発酵後に数年間熟成させた 健康飲料や化粧品への応用もされている。