老人語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
老人語 (ろうじんご)は、青少年が日常的に使うことはほとんどないが、高齢者が使う古語、廃語になっていない言葉である。誰でも、高齢者になる可能性があるので、老人語を特定することはできないが、2000年代においては、第二次世界大戦前までに使用されていた言葉を指すことが多い。新明解国語辞典における言葉の種類のカテゴリーのひとつである。
[編集] 老人語の一覧
- 半ドン
- 一儀
- 三国人
- カラン(水道の蛇口/オランダ語)
- ロートル(老人・年配者・グループの年長者/中国語)
- 満艦飾(物干しにぶら下がった洗濯物)
- 国鉄
- 汽車(旧SL区間で運行される電車)
- 上等舶来(舶来品)(持ち物・服装・良好な状況等を褒める語)
- ポンユー(朋友/中国語)
- 大蔵省(家計の管理担当者)
- マルクス読みのマルクス知らず(諺「論語読みの論語知らず」をもじった語)
- 電気のホヤ(電球/灯油ランプのホヤから派生)
- 連絡船(比較的に大型のフェリーボート)
- 高等文官(キャリア公務員)
- マンマンデー(慢慢的・ゆっくりと・そのうちに/中国語)
- トルコン(自動車のオートマ装置)
- 襦袢(下着・肌着、但し、和装界では老人語ではない/ポルトガル語)
- メリヤス(ニット製品)
- ビロード(ベルベットの布)
[編集] その他の話題
かつてはテレビドラマやアニメなどで、老人が、自分のことを「わし」と自称したり、語尾を「・・・・・・じゃろう」といったりすることがよくあり「老人が使う言葉」というイメージで使われていた。
これらの言葉は広島地方の方言である。広島弁がどういう理由で「老人らしさ」を演出するアイテムとされたのかは、はっきりとしたことは不明であるが、一説には江戸時代以来、セリフの約束ごととして、老人や知識人を表現するための言葉として演劇、小説、漫画等に定着したとも云う。ちょうど、TVのバラエティー番組で、「探検隊」であれば、布製ヘルメット帽に英国式半ズボン姿が登場し、「囚人」であれば、横縞模様の服を着ているのと同様に、キャラクターを端的に表現する「言語的小道具」であった。 かつて、江戸在住の知識人は西日本出身者が多く、さらに西日本出身でなくてもそれに合せた話し方をしたからと言う。また明治時代になってからも、「維新の元勲」や政治家・軍人に広島の隣県で方言がよく似た長州出身者が多かったためともいう。
また、現在「~じゃろう」を使う地域は、広島が代表する中国地方であるが、江戸時代にはもっと広い範囲で使われ、現在「~やろう」と言う地域即ち中部・近畿・北部九州等がそれに該当し、中国地方及びそれらの地方を含めると人口の半数以上が「じゃろう」であったと思われる。当時は「物知り」と云われる人は年配者であり、文化の中心は近畿地方であったから、「老人」と「西日本出身」のイメージが結びつき、それらの人の言葉が定着したのではないかと云う。
因みに近畿地方で「じゃろう」が「やろう」に移行し始めたのは、江戸末期頃からと云われる。大阪などでは昭和前半頃までは、日ごろ「~や」と発音している人でも、強調してしゃべるときは「~じゃ」を使った。