自然の斉一性
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自然の斉一性原理(しぜんのせいいつせいげんり、 principle of uniformity of nature)または単に斉一性原理とは、科学哲学の世界で用いられる言葉で「自然界で起きる出来事は全くデタラメに生起するわけではなく、何らかの秩序があり、同じような条件のもとでは、同じ現象がくりかえされるはずだ」という仮定[1]。推論の一種である枚挙的帰納法を成立させるために必要な前提として、18世紀スコットランドの哲学者デイヴィッド・ヒュームによって導入された概念。自然の一様性原理[2][3]とも訳される。
目次 |
[編集] バリエーション
自然の斉一性という言葉が示す内容は、具体的にはいくつかのバリエーションがある。
- 「他の条件に変化がない限り、自然現象はいままで通りに進んでゆく」(時間)
- 「地球上の自然の法則は、宇宙のどこでも働いている」(場所)
[編集] 正当化
この法則は当然のように思われるが、この原理を立証する根拠は未だに提出されていない。仮に自然科学の基本的な方法である帰納法で実証を試みても、帰納法そのものがこの原理を前提にしているため、実証は不可能である。現行の自然科学は、基本的にひとまずはこの原理を仮定することによって成り立っている。すなわち、アブダクション(発見)→仮説「全てのF(F1、F2、F3……)は~である」→予測「どのようなFも~である」→予測に相応する観察「F1は~である」という一連の仮定の根底に、この原理が置かれるわけである。(帰納の項も参照)
しかしながら、この考え方は科学の基礎でもある。いかなる現象も、体験的に得られる知識の延長上で理解しようとするものだからである。今までに知られていない現象を発見した際に、それを説明するために新たな法則や原理を導入すれば、その説明はたやすいが、あえてそれをできるだけ控える事で科学は進歩してきた。たとえば地質学や古生物学の初期に、斉一説が唱えられている。これは、地層の形成や化石の生成を古代に存在した大事件で説明しようとする天変地異説に対して、それを否定し、過去の現象も現在の日々行なわれている現象の積み重ねで説明できるとするものであった。地質学や古生物学はこの学説の下で進歩し、多くの現象がそのような流れの中で理解できるようになった。その知識の積み重ねの上で、それでも天変地異があった事を認めたのがたとえば大隕石の落下が恐竜を滅ぼした、といった説になってくるのである。一足飛びに天変地異に飛びついたのではこの説の説得力は認められまい。
[編集] 脚注
- ^ 戸田山和久 『科学哲学の冒険――サイエンスの目的と方法をさぐる』 日本放送出版協会 2005年 ISBN 4-14-091022-4
- ^ 坂本百大、野本和幸編著 『科学哲学-現代哲学の転回』 p35-36 北樹出版 2002年 ISBN 4-89384-856-9
- ^ 西脇与作 『科学の哲学』 p130 慶應義塾大学出版会 2004年 ISBN 4-7664-1065-3
[編集] 関連項目
- ヒューリスティックス
- 認知バイアス
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