航空機の離着陸方法
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航空機の離着陸方法とは航空機(宇宙機)の離着陸方式の解説である。STOVL機、CTOL機など、それぞれの区分について記述、解説する。
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[編集] 概要
[編集] STOVL機
STOVL機 (Short TakeOff/Vertical Landing、ストーヴルき) は、短距離離陸垂直着陸機のこと。短い距離で離陸できヘリコプターと同じように垂直に着陸できる飛行機を指す。通常、STOVL機は垂直離陸機能を持っているが、実際に垂直離陸での運用を行うとペイロードが大幅に減少してしまう上、垂直離陸には多量の燃料を消費するため、離陸時には短距離の滑走を行い、着陸時は垂直着陸を行うことからこのような名称がつけられる。
[編集] VTOL機
VTOL機 (Vertical TakeOff and Landing、ヴィートールき) は、垂直離着陸機のこと。つまりヘリコプターと同じように垂直に離着陸できる飛行機のことである。なお回転翼機であるヘリコプターはVTOL機とは言わない。
ハリアーはこの部類に入るが、通常垂直離陸で運用されることはなく STOVLとして運用される。完全なVTOL機は旧ソ連のYak-38くらいである。とはいうものの、よほど特別な事情、たとえば最初から車輪を有さない機体でもなければ、離陸は滑走した方が燃料、携行重量の面で有利であることは当然であり、高地高温時の離陸重量減少を補う目的で、ヘリコプターですらこうした離陸方法をとっている。したがってSTOVL機とVTOL機を別のカテゴリーとして区分するよりは、時代の変化に応じて実際の運用に即した呼称に変化したと理解する方が適当である。
[編集] S/VTOL機・V/STOL機
S/VTOL機・V/STOL機(エス・ヴイトールき、ヴイ・エストールき)はVTOL機とSTOL機の両方を指すために使われる言葉。一般にVTOL(垂直離着陸)が可能な機体は当然STOL(短距離離着陸)が可能なためV/STOLと書かれることが多い。しかしその逆は無いのでS/VTOLとは書かないことが多い。STOVL(/が無い)は、ハリアー・JSFなどの軍用V/STOLに使われ、離陸ではほとんどSTOL形態で離着陸する機体を言う。なおこの場合はSTOLよりSSTOL(Super Short Take-off and Landing:超短距離離着陸)形態で離着陸する、と言った方が正確である。
なお、以上のSTOVL、VTOL、S/VTOL・V/STOLという区分けは、ほとんどの機体においてSTOVL機でありVTOL機でありS/VTOL・V/STOL機でもある。つまり、以上の区分は作戦任務、運用方針を主軸においた場合の区分であり、機体からみればすべてに該当する機体がほとんどである。例外としては先に出しているYak-38があり、短距離離着陸性能(つまりSとつく性能)を有しておらず、VTOL機ではあるがSTOVL機ではない。ただし発展型であるYak-38Mでは短距離離着陸性能が付加されており、すべてに該当する機体となった。
[編集] CTOL機
CTOL機(Conventional TakeOff and Landing、シートールき)は、通常の離陸性能を持っている航空機のこと。VTOL機やSTOL機との対比の意味で使われることが多い。
[編集] STOL機
STOL機(Short TakeOff and Landing、エストールき)は、短距離離着陸機。 通常の航空機に比べ短い距離で離着陸できるもののこと。高揚力フラップやスラストリバーサなどを使うことによって短い距離での離着陸を可能にしている。CTOL機とSTOL機との間の区分は曖昧であり、同クラスの航空機より明らかに短い距離で離着陸が可能、もしくは短い距離での離着陸を意識した設計の固定翼機をSTOL機と呼ぶ場合が多い。スウェーデンの軍用機は運用方針(緊急時は高速道路を滑走路として使用する)からこの性能を重要視している。
- Fi_156_シュトルヒ
- 飛鳥 (航空宇宙技術研究所の試験機)