船外機
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船外機(せんがいき)とは船舶の推進システムである。
アウトボードドライブとも呼ばれる。
インボードドライブのようなエンジンやドライブのスペースが不要となるほか、船体のゆがみに起因する、プロペラシャフトのトラブルの心配も無い。
多くは単機での装着となるが、より速さを求める場合は、連装、3連装となる。
船外機はエンジン、その補機、スクリュー等が一体となった船舶の推進器である。主に小型の船舶の後部に取り付けられる。船外機は軸を中心に方向を変えられ、それ自身が舵となることも出来る。また、浅瀬等では障害物を避けるために跳ね上げられるようになっている。
エンジンはコンパクトで高出力な2ストローク ガソリンエンジンが用いられていたが、オイルによる水質汚濁が避けられず、環境意識の高まりから、排出ガスのよりきれいな4ストロークガソリンエンジンに転換しつつある。
シリンダー配置は、単気筒をはじめ、直列型(インライン)は2から4 気筒、V型では、4気筒と6気筒が一般的である。
冷却水は船舶が航行している場所の水を直接吸入し、冷却に使用後排出される。ポンプによって連続的に吸入・排出が行なわれ、閉域循環しない。このことはラジエーターおよび冷却ファンを不要とし、重量とコストを陸上のエンジンよりも下げることに寄与する。
[編集] 歴史と発展
最初の実用的な船外機は1909年にノルウェー系アメリカ人en:Ole Evinrudeにより開発された。
歴史的に大抵の船外機は2ストロークエンジンを使用していた。2ストロークエンジンはシンプルで信頼性が高く、コストが低くそして高いパワーウェイトレシオを誇った。特に重量面は非常に重要で過大な重量は船の操縦性を妨げた。しかしながら高い排出ガスと環境基準に適合させるためのコストのために特にローエンド機種において4ストロークエンジンが次第に採用されるようになった。ハイエンド機種では依然として2ストロークのままで燃料噴射装置により排ガス規制を満たし、燃費経済性よりもエンジンの重量がより重要視されている。