艦対空ミサイル
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艦対空ミサイル (かんたいくうみさいる) は、艦船から空中目標に発射されるミサイル。Ship-to-Air Missile、略してSAMといわれ、地対空ミサイルと同じ略し方となる。敵航空機だけではなく、敵対艦ミサイルの迎撃にも使われる。また、対空攻撃だけでなく対艦攻撃などに使用できるミサイルも存在する。
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[編集] 種類
艦対空ミサイルは大別すると艦隊防空(エリアディフェンス)ミサイルと、個艦防空(ポイントディフェンス)ミサイルの2つに分かれる。
[編集] 艦隊防空ミサイル
艦隊防空ミサイルは、艦隊に対して攻撃を仕掛けてくる対艦ミサイルや攻撃機を迎撃、撃墜を目的としたミサイル。第二次世界大戦以降の艦隊は数kmの広大な範囲に展開することと、対艦ミサイルの高速化により、できるだけ遠距離で迎撃するために長射程となるよう設計されている。その結果、ミサイルは比較的大型化し、艦内にそれなりのスペースを必要とする。そのため、艦隊防空ミサイルは一部の艦隊防空を重視している艦船のみに搭載される(なお、ミサイル駆逐艦、ミサイル巡洋艦、ミサイルフリゲートなど艦種の頭にミサイルがつく水上艦は、艦隊防空ミサイルを装備していることを意味する)。
主なミサイルを挙げると、アメリカ海軍をはじめとする西側諸国では、中、長射程型SM-2MRブロック1-4、フランスで近年開発されたアスター30(フリゲート、カラビニエーレを使用し海上で試射)、旧式ながらシュフラン級に配備されているマズルカ(二段式でアメリカのテリアに酷似)、イギリス海軍のGWS30シーダートなどがある。他には、ロシア海軍のSA-N-6グランブル、SA-N-7がある。(もっともSA-N-7は射程の面から見れば、個艦防空ミサイルである。)
[編集] 個艦防空ミサイル
個艦防空ミサイルは、艦隊防空ミサイルで撃墜できず、自艦に対して向かってくる対艦ミサイルや攻撃機に対して使用されるミサイル。艦隊防空ミサイルに比べ射程が短い(ただし、技術の進歩により近年の個艦防空ミサイルの中には、1世代前の艦隊防空ミサイルより射程が長いものも存在する)。
比較的小型なため、必要な艦内スペースも艦隊防空用に比べれば少なくてすみ、対潜など対空以外を重要視している艦船でも通常装備として搭載される。
主なミサイルを挙げると、アメリカ海軍をはじめとする西側諸国が使用しているものは、RIM-7 シースパローや改良型のESSMや、フランス海軍ではR440クロタル、イギリスではGWS25シーウルフ(VLS型は一般的にGWS26)、イタリア海軍ではアスピーデなどがある。他には、ロシア海軍ではSA-N-4、SA-N-9などが多用されている。
[編集] 歴史
艦対空ミサイルが議論になるようになったのは、第二次世界大戦後の1940年代後半あたりからである。この時代は航空機がレシプロ機からジェット機、対艦攻撃兵器が無誘導爆弾から対艦ミサイルへと急激な進化を遂げる時代で、艦対空兵器としてそれまで使用されていた高角砲などでは攻撃手段等の進化に対応しきれなくなり、艦対空ミサイルが開発されることとなった。
実際に艦対空ミサイルが配備されるのは1950年代後半から1960年代にかけてとなる。1955年にアメリカでRIM-8A テリアが実用化されたのを始めとして、イギリスでは1961年にシースラッグが、ソ連では1961年に地対空ミサイルを改良したSA-N-1が、フランスではマズルカが相次いで実用化された。
初期の艦対空ミサイルは、現在の艦隊防空ミサイルに近く、遠距離においてミサイルを使用し、近距離では高角砲などを使用し迎撃するという構想がなされていた。しかし、対艦ミサイルの超音速化やミサイル艇の出現にともない、近距離においても使用できる防空用ミサイルの必要性が高まったため、より小型のミサイルが開発されることとなった。このミサイルは現在で言う個艦防空ミサイルで、これにより艦隊防空ミサイルと個艦防空ミサイルの概念が生まれることとなる。個艦防空ミサイルは、開発期間短縮などの理由から、すでに実用化されている空対空ミサイルや地対空ミサイルを改良して作られたものが多い。
その後、艦対空ミサイルは長射程化、同時攻撃可能数の向上、信頼性の向上、垂直発射システムの開発など、システム的な進化を遂げていくが、現在でも艦隊防空ミサイルと個艦防空ミサイルという概念は変わっていない。
現在では個艦防空ミサイルより更に近距離での迎撃をおこなうCIWSでも一部ミサイル化(RAMなど)がなされている。
[編集] 主な艦対空ミサイル
[編集] 目標が同一のミサイル
[編集] 関連項目
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