RAM (ミサイル)
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RIM-116 RAM(Rolling Airframe Missile)とは、艦船に搭載し主に近接の対空防御および対艦ミサイル迎撃を行う艦対空ミサイルである。
[編集] 概要
ミサイルの胴体部はAIM-9サイドワインダー空対空ミサイル、シーカーはFIM-92スティンガー携帯型地対空ミサイルを基として開発されている。
誘導方式は赤外線探知方式で、ミサイル本体が回転する事により、シーカーの捜索範囲に目標を捕らえ、誘導が行われる。
ミサイル本体は艦上に設置された専用の21連装の発射機に収容される。また、ファランクスのMk72マウントを、11連装のRAM発射機に取り替えるSeaRAMも提案されている。
[編集] 開発の経緯
冷戦期、ロシアの対艦ミサイルは超高速で飛翔することによって探知してから迎撃する時間を与えないという方向に進化してきており、ファランクスの20mm機関砲では射程・対応時間等に不足するという懸念が生まれた。また、機関砲では同時に複数目標に対処することが困難なため、多数のミサイルを一斉に発射する飽和攻撃により数の力で、ファランクスの防御を突破するというロシア軍の戦法を考慮すると機関砲のCIWSだけでは不安が残ることから開発がスタートする事となった。
RAMは多目標を同時に迎撃するために撃ちっ放しが可能で、万が一初弾が迎撃に失敗しても再度対処できる事が期待されたが、ミサイルにミサイルを当てるというのは大変高度な技術で、1974年に始まった開発は何度も中止の危機を乗り越え、1992年にようやく配備にこぎつけた。
現在では、アメリカ海軍のニミッツ級航空母艦やドイツ海軍のザクセン級フリゲート、韓国海軍の李舜臣級駆逐艦等に採用されている。なお、海上自衛隊のあぶくま型護衛艦も搭載予定となっているが、未だに装備は行われていない。