芦屋市立美術博物館
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芦屋市立美術博物館(あしやしりつびじゅつはくぶつかん)は兵庫県芦屋市にある美術館と歴史博物館の設備を併せ持つ複合施設で、1991年に開館した。小出楢重や菅井汲、吉原治良と具体美術協会、中山岩太ら芦屋カメラクラブの写真家など、芦屋ゆかりの芸術家たちの作品を多く収蔵している。 前庭には小出楢重のアトリエが復元されている。
目次 |
[編集] 主な施設
- 本館:延床面積 3,402m²
- 講義室
- 体験学習室
- ミュージアムショップ
- 小出楢重アトリエ
[編集] 所在地
- 〒659-0052 兵庫県芦屋市伊勢町12-25
[編集] 交通
[編集] 周辺情報
[編集] 美術博物館の存続
芦屋市立美術博物館をめぐっては、東京都現代美術館問題とならぶ「公立美術館の冬の時代」を象徴する事件がおこっている。
阪神・淡路大震災以降の芦屋市の財政難により、2003年11月に福祉事業や職員の削減などからなる行政改革計画が発表されたが、この美術館についても、民間委託先を探し見つからなければ休館、との厳しい方針が示された。駅から遠く不便で、展覧会も現代美術中心で集客力が弱く赤字が続いていたためだが、この美術館が所蔵・研究する具体美術協会はじめ芦屋市に関係する美術作家たちの作品や資料は、日本の近代・現代美術研究の上でも貴重であり、国内外や芦屋市民からその散逸を惜しみ存続を願う声があがった。
市内在住の映画監督・大森一樹をはじめとする芦屋市民や美術ファンによるグループが組織され芦屋市との交渉がつづけられたが、市の財政難は深刻であり、教育委員会などの美術館運営・保有に関する意識は貧弱であった。また市民グループ側も存続のための十分な対案を示せたとはいえない状態であった。
芦屋市は2005年度をもってこれまで運営を行なってきた市の外郭団体を解散し、2006年度からは民間業者やNPOなどが市の委託を受けて管理運営する「指定管理者制度」の導入を検討した。これに対し、市民グループは指定管理者となるためのNPOを発足させたが、結果的に指定管理者としては認められず、市直営のもとNPOが運営業務を一部受託するという変則的な形で2006年度の美術館運営が行なわれることとなった。大幅な予算・人員削減などにより、先行きは依然不透明なままだと言えるが、今後、展覧会企画・集客・研究教育活動など、地域密着型の美術館として市やNPOの手腕が問われることとなる。