草 (子連れ狼)
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草(くさ)とは、『子連れ狼』に登場する裏柳生支配下の密偵のことで、物語に登場する人々の話によれば、全国各藩に、或いは藩士として或いは僧侶としてというように潜入して、それぞれが在住する藩の様子を事細かに江戸の裏柳生代々の総帥に報告する。時にはその命により、藩主等の要人の殺害も行ってきたらしい。これは親子代々、原則として一子相伝の様な形で受け継がれてきた。また、江戸幕府或いは柳生家の浮沈にかかわるような大事が起きた際には、奔草と称される花火状の烽火を上げて、江戸から全国の草達に向けて、リレーのように各地に伝達される。これを見た草達は他の地域に伝達したうえで、全てのことを捨てて、江戸の柳生屋敷に集まることとなっている。
作品中で阿部頼母の讒言によって謀反を疑われ、江戸城に召喚され幕閣から草についての説明を求められた裏柳生の総帥・柳生烈堂の語るところによれば、烈堂の祖父・柳生宗厳(石舟斎)が、徳川家康の命を受け、全国各藩の様子を探るべく配したものであり、その際、宗厳は家康から
<たとえ、徳川家が滅亡したとしても、草については秘匿せよ。>
と厳命されたらしく、草について、その姓名等を裏柳生の総帥以外に知る者はいない。
作品中では、烈堂の命で、全国各地の草が、子連れ狼こと拝一刀・大五郎父子を襲撃するもことごとく倒され、烈堂が江戸城に召喚された際に、奔草で江戸に集結した草は一刀の手にかかることのなかった200名程のみであった。烈堂の疑いが晴れた後、烈堂の命により、一刀父子を襲撃。一刀の愛刀・胴太貫を折り、一刀に重傷を負わすも、一刀により全滅させられた。
作品の終盤では、奔草によって全てを捨てて江戸に集結することとなった草達の苦悩と悲劇とが描かれている。