蔵王観光ホテル火災
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蔵王観光ホテル火災(ざおうかんこうホテルかさい)とは、1983年2月21日に山形県山形市の蔵王観光ホテルで発生した火災。従業員5人、スキー客6人の合計11人が一酸化炭素中毒死した。隣接する柏屋旅館、海老屋旅館など7棟が全焼した。
[編集] 概要
蔵王温泉の温泉街にあった蔵王観光ホテルは、1920年代に建築されたホテルであり施設の陳腐化が進んでいた。さらに増築を重ね、複雑な館内構造となっていた。「適マーク」の交付こそ受けていたものの、自動火災報知器がしばしば誤作動を起こしたことから、従業員がシステムを稼働させていなかった。
当日、スキー客など86人が宿泊していた。午前3時50分頃、本館(旧館)2階萩の間トイレ暖房用電気ストーブから出火、折からの強風(吹雪)により一気に火の手が回った。従業員らの一時的な消火活動も行われたが、宿泊客の誘導や避難を促す放送などは行われなかった。被害者の多くは、複雑な館内の構造から逃げ場を失い倒れていた。
消火活動は、吹雪の中、密集する温泉街で逃げまどう他のホテルからの避難客などに阻まれ、消防車の到着が遅れたため周囲の温泉宿にも延焼する事態となり、火元の蔵王観光ホテル2棟、類焼した周辺旅館等5棟が全焼。午前6時40分にようやく鎮火した。このため温泉街のイメージが悪化し、一時的に観光客が減少する余波も生じた。