蕨餅
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蕨餅(わらびもち)は、デンプンと水、砂糖からつくる和菓子。伝統的に原料としてワラビから取れるデンプンである蕨粉(わらびこ)が使われたため、この名がついた。岡太夫(おかだゆう)という異称もある。
一般的な蕨餅は、蕨粉と水を加熱しながら透明になるまでかき混ぜ、さらに流水に入れて冷やし固めたもので、黄粉や黒蜜をかけて食べる。透明で、見た目にも涼しげであるため、夏の菓子として重用される。
また、上生菓子にも蕨餅と呼ばれるものがあり、こちらは蕨粉・水・砂糖を加熱しながら混ぜて作られる透明な生地で餡を包み、黄粉をまぶしたものである。主に春の茶席菓子とされる。
蕨粉はワラビの地下茎を叩きほぐして洗い出し、精製したデンプンであるが、同様の方法でクズの肥大した根から得られるデンプンである葛粉以上に原料の採取や製造に手間がかかり、収率が悪いので、今日では製造者が非常に少なくなっている。そのため、今日の蕨餅は、蕨粉の代わりにサツマイモやタピオカから取られたデンプン、あるいは葛粉を材料にして製造したものがほとんどであり、本物の蕨粉で作った蕨餅は希少な高級品となっている。その他のデンプンのものは無色透明で涼しげなものであるが、本来の蕨粉だけのものは茶色がかったものとなる。
中部地方~四国地方のエリアでは、夏にかき氷とともにリヤカーなどによって移動販売される姿も見かけられる。
(参考: asahi.com 関西 「わらびもちの移動販売って?」 2006年07月19日)