砂糖
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
砂糖(さとう)とは、甘みを持つ調味料(甘味料)の一種であり、主な成分は糖(ショ糖)である。
目次 |
[編集] 砂糖の製法
[編集] サトウキビ
茎を細かく砕いて汁を搾り、その汁の不純物を沈殿させて、上澄み液を取り出し、煮詰めて結晶を作る。伝統的な製法では、牡蠣殻を焼いて粉砕した牡蠣灰を沈殿助剤として加える例もある。煮詰めてできた結晶と結晶にならなかった溶液(糖蜜)の混合物を遠心分離機にかけて粗糖を作る。粗糖の表面を糖蜜で洗った後、遠心分離機にかけて、結晶と糖蜜を分ける。その結晶を温水に溶かし、不純物を取り除き、糖液にする。それを煮詰めて結晶を生じさせ、真空状態のもとで糖液を濃縮する。結晶を成長させた後、再び遠心分離機にかけて、現れた結晶が砂糖となる。
サトウキビはバイオエタノールの原料でもあるため価格が高騰している。
[編集] テンサイ
根を千切りにし、温水に浸して、糖分を溶け出させて、その糖液を煮詰め、ろ過して不純物を取り除き、真空状態のもとで糖液を濃縮し、結晶を成長させた後、遠心分離機にかけて、現れた結晶が砂糖となる。
[編集] サトウカエデ
幹に穴を穿ち、そこから樹液を採集する。サトウカエデの樹液を煮詰めて濃縮したものがメープルシロップである。更に濃縮を進めて固体状になったものがメープルシュガーである。
[編集] 歴史
サトウキビの原産地は、南太平洋の島々で、そこから東南アジアを経て、インドに伝わったとされる。 紀元前2000年頃にインドで砂糖が使われていたとされ、サトウキビから砂糖を作ったのは、インドが最古とされる。 インドの砂糖やサトウキビは、アラビア人によってペルシャ・エジプト・中国などへと伝えられた。 英語:sugar と、日本語:satou の頭部は、砂糖をあらわす梵語からきた語源を同じくする言葉である。
日本には奈良時代に鑑真によって伝えられたとされている。中国においては唐の太宗の時代に西方から精糖技術が伝来された事(それ以前の中国では、砂糖はシロップ状の糖蜜の形で使用されていたといわれている)により、持ち運びが簡便になった事と関係があると言われている。当初は、輸入でしかもたらされない貴重品であり医薬品として扱われていた。一方、中国と冊封関係にあった琉球王国では、1623年に儀間真常が砂糖生産の奨励を始めたとされている。
江戸時代の将軍徳川吉宗が琉球からサトウキビをとりよせ、江戸城内で栽培させ、サトウキビの栽培を奨励した。 ヨーロッパには、11世紀に十字軍が持ち帰り、地中海周辺でサトウキビが栽培されるようになった。
1747年にドイツの化学者がテンサイから砂糖と同じ成分をとりだすことに成功した。フランスやドイツでテンサイが栽培されるようになった。ナポレオンがこのテンサイに注目し、製糖業が発達した。
[編集] 生産量
- 日本
砂糖の日本国内消費・生産は、1995-2004年度の10年間平均(1995年10月-2005年9月)では、国内総需要は年230万トン(国産36%:輸入64%)、国産量は年83万トン(テンサイ約80%:サトウキビ約20%)である[1]。年毎の動向を見ると、総消費量は減少してきたが下げ止まっている状態である。国産量は微増傾向にあるが、それは主にテンサイ糖の増加によるもので、サトウキビ糖は微減傾向にある。
- 世界
砂糖の生産量は増加しており、1980年代には年1億トン前後であったものが2000年代には年1.4-1.5億トン程度になっている[2]。全生産量のうち約30%が貿易で取引される。生産量の内訳は、サトウキビによるものが約70%、テンサイによるものが約30%である[3]。サトウキビからの砂糖の主要生産国は、ブラジル・インド・中国などであるが、ブラジルは中国の約3倍の生産量、インドは中国の約2倍の生産量である[4]。テンサイからの砂糖の主要生産国は、EU各国(ドイツ・フランス他)、アメリカ合衆国、ロシアである。
- 脚注
- ^ 独立行政法人農畜産業振興機構「砂糖類情報」砂糖及び異性化糖の需給総括表
- ^ 同 世界砂糖需給バランス
- ^ 同 主要国の砂糖の生産量の主要国生産量より算出
- ^ 上記資料「3e主要国の砂糖の生産量」より、2000年10月~2005年9月の5年間平均値を算出
[編集] 種類
[編集] 化学成分
砂糖が脳が疲れたときによいといわれるのは、生物体内で砂糖が分解されて生じるブドウ糖が、脳活動のエネルギー源としてすぐに供給されるためである。ショ糖を酵素的に分解してできる果糖とぶどう糖の混合物(転化糖)は、砂糖より甘みの強い甘味料として使われる。
砂糖の主成分ショ糖には水分保持効果があり、寿司飯に加えるとデンプンの老化を抑えて冷えてもおいしさが長続きする。
砂糖を肥満・糖尿病の原因になる食品として問題視することもあるが、これは油脂・糖類に共通する問題であり、どのような食品(例えば塩)でも必要量以上摂取すれば害になる。適切な摂取が健康を維持することにつながる。
[編集] その他
- 「佐藤」ならぬ「砂糖」さんも、名字で実在する。
[編集] 参考文献
- 川北稔 『砂糖の世界史』 岩波ジュニア新書 岩波書店 ISBN 4005002765
- 西尾弘二 『砂糖屋さんが書いた砂糖の本』 三水社 ISBN 4915607461
- アスペクト、ビジネスアスキー 編 『砂糖』至宝の調味料 アスペクト ISBN 4757206348