薔薇刑
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
薔薇刑(ばらけい)とは、細江英公撮影による三島由紀夫の裸体写真集。マゾヒスティックな構図の写真が多く、前代未聞の奇書として内外に大きな反響を呼び、細江は日本写真批評家協会作家賞を受けた。
撮影は1961年9月から1962年春まで、約半年間にわたって10回近くおこなわれた。撮影場所は東京都目黒区の土方巽の稽古場や、江東区亀戸の廃工場跡、港区青山教会跡地の建築工事現場、そして大田区南馬込の三島邸など。自邸での撮影に際し、三島は「家族の教育上よくない」との理由により、瑤子夫人と長女の紀子(当時2歳)を文京区目白台の夫人の実家に里帰りさせていた。
1963年3月に集英社から杉浦康平の装丁で刊行された当時の定価は3500円だったが、その後稀覯書として国際的に評価が上がり、2003年の段階で1冊約50万円の高値を呼んでいた。
なお三島の死の翌年、1971年には集英社から横尾忠則の装丁による新輯版『薔薇刑』が刊行された。さらに1984年、集英社から粟津潔の装丁による新版『薔薇刑』が刊行されている。