裁判所速記官
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裁判所速記官(さいばんしょそっきかん)は、裁判所に置かれる裁判官以外の裁判所職員の一種で、法廷における速記する事務を行う者のことである。
その主要な職務は、争点が重要・複雑で証言を逐語的に記録する必要のある刑事、民事事件の法廷に立会い、被告人質問や証人尋問などの発言内容や身振りなどを記録する法廷速記者の役を務めることである。速記録の作成にあたっては、法廷では速記用の専用タイプライターを用いて速記符号による記録を取り、法廷終了後にこれを反訳して行う。
以前は、裁判所速記官を志す者は、17歳から20歳を対象とする裁判所速記官研修生採用試験に合格し、2年間の研修後、各裁判所に配属されていたが、現在、裁判所速記官研修生は人材確保の困難さや裁判量の増加などの問題を理由として、新規の採用が停止された。
[編集] 歴史
裁判所速記官は、戦後、裁判が公判中心主義となり、事実審の手続きが複雑化したことに伴い、裁判所書記官の作成する調書を補助する速記録を作成させるため、法廷速記を専門的に行う職員を置く必要から、1957年に設置された。速記官は毎年研修生を採用して徐々に定員を増し、ピークの1996年には825人に達した。
1997年、最高裁判所は、速記用の特殊なタイプライターの安定供給が難しいこと、人材確保が困難であることを理由に、裁判所速記官研修生の採用取りやめを決め、1998年度をもって速記官の養成・採用は停止された。また、各裁判所に速記官を助けるため裁判所速記官補が置かれていたが、2004年の裁判所法改正で速記官補の設置を規定していた同法第60条の3が削除された。
採用停止後、退職による自然減に加え、現職速記官も書記官等への転官が進められたため、2006年までに定員は300人程度まで減少した。
[編集] 関連項目
- 速記
- 国会速記者
[編集] 外部リンク
- 裁判所 | 裁判所速記官(裁判所ホームページ)
- 裁判所速記官を守る会
- 電子速記フォーラムココログ
- @nifty電子速記フォーラム