谷中五重塔放火心中事件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
谷中五重塔放火心中事件(やなかごじゅうのとうほうかしんじゅうじけん)は、1957年に東京都台東区の谷中霊園内の五重塔が、心中による放火で焼失した事件である。
[編集] 事件の概要
この五重塔は、1908年に天王寺より寄贈されたもので、幸田露伴の小説「五重塔」のモデルになるなど、東京都内で有名であり、谷中霊園のシンボルになっていた。だが、1957年7月6日の早朝に炎上し焼失した。焼け跡の芯柱付近から男女の区別も付かないほど焼損した焼死体2体が発見された。僅かに残された遺留品の捜査で2人は都内の裁縫店に勤務していた50歳代男性と20歳代女性であることが判明した。関係者の証言から2人は、不倫関係の清算を図るために、2人揃って自ら業火の中に身を投じたものと推測された。しかしながら、公共の文化財であった五重塔をも巻き込んだ事に対し、社会的に非難された。なお、焼失後は再建されず、礎石だけが残るのみである。